第2メッセンジャー(アデノシン環状リン酸)の生成と開裂を制御する人工材料の開発
Project/Area Number |
04205023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小宮山 真 東京大学, 工学部, 教授 (50133096)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | アデノシン環状リン酸 / 第2メッセンジャー / セリウム(III)イオン / 加水分解 |
Research Abstract |
細胞が外部情報に応じて機能を調節する際には、細胞膜に存在するアデニル酸シクラーゼによりアデノシン-5'-三リン酸が環化されてアデノシン3'、5'-環状リン酸(cAMP:第2メッセンジャー)が生成し、cAMPが細胞内の酵素系の機能を調節して目的とする細胞応答を実現する。したがって、細胞内におけるcAMPの濃度を人工的に制御できれば、これは、細胞機能の新規な制御法につながる。本研究では、特定の刺激に応じてcAMPを効率的に分解する人工酵素の分子設計を指向して、このような人工酵素の触媒活性部位として使用するのに十分な活性を持つ触媒の開発を追求した。その結果、希土類金属イオン、特にセリウム(III)イオンが驚異的に大きな活性を持つことを見いだした。30℃、pH8において、塩化セリウム(III)(0.01M__-)を触媒とした際のcAMP加水分解の擬1次速度定数は1.2min^<-1>であり、半減期はわずかに35秒である。cAMPは、元来、非常に安定な化合物であり、塩化セリウム(III)の不在下における半減期は40万年である。すなわち、塩化セリウム(III)の加速効果の大きさは、実に1000億倍にも達する。他の希土類金属イオンも、活性はセリウム(III)よりも小さいもの、cAMPの加水分解に対して有効であった。このように、cAMPを、生理条件において、天然酵素を用いることなく、細胞応答を制御するのに十分な速度で加水分解することに初めて成功した。それに対し、希土類金属以外の金属イオンには、触媒活性は全く認められなかった。すなわち、大きな触媒作用は希土類金属イオンに特異的である。セリウム(III)イオンの優れた触媒作用を、cAMPを選択的に結合するホスト化合物とハイブリッド化することにより、cAMPを選択的に加水分解する人工ホスホエステラーゼを構築することが出来ることが強く示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)