Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
超微細結晶粒材料の諸性質の界面構造にもとずく解釈には近年2つの説が対立した。界面が母相の半分程度の低い密度になっているというGleiterらの解釈と,界面上にはボイドが存在しがちで,このため見かけ上低密度になって見えるだけで界面相自体は粗大晶のそれとそれほど変わらない密度の領域となっているとするSiegelらの解釈である。本年度は当該研究の最終年度でもあるため,超微細結晶粒材料の界面構造をめぐる最も基本的論点である,この界面密度問題を取り上げ,これまでの高分解能電子顕微鏡観察結果を基に検討した。 論争の要点は高分解能電子顕微鏡で観察されるボイドを含む超微細組織が,すでに本来の材料のそれではなくなっている,あるいは,焼結性が良くないためにボイドがみられるにすぎない,という2つの主張の是非にある。前者は純金属の超微細粒組織に対して,また後者はセラミックスのそれに対してされた議論である。金属・セラミックス超微細結晶粒複合体は組織不安定性と難焼結性という2つの課題を一度に克服する都合のよい系である。 ガス中蒸着法やボールミル法で達成された金属・セラミックス超微細粒複合体の高分解能電顕観察は,ボイドを含まず,かつ結晶粒界面の密度に異常のない状態が達成されたことを示した。結局,両説の対立は材料作成技術が不完全段階にあったことを象徴した事件であると結論された。 一方,力学的性質の実験は新材料であるC_<60>およびC_<60>と銀との超微細結晶粒複合体に対して引張試験として行われ,C_<60>が常温で,超塑性の変形機構である粒界すべりによる延性促進効果を内蔵していることが見出された。C_<60>を材料化するうえで超微細結晶粒組織とし複合体として使用することが,きわめて有効であると結論された。
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