Project/Area Number |
04205045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
榎 敏明 東京工業大学, 理学部, 教授 (10113424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 和也 東京工業大学, 理学部, 助手 (80206466)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 有機伝導体 / 磁性 / 電荷移動錯体 |
Research Abstract |
本年度は、磁性と電気伝導の共存する有機電荷移動錯体の開発として、BEDT-TTFを電子供与体、CuBr_2及びCo(SCN)_2,Mn(SCN)_2を電子受容体とする電荷移動錯体を合成した。CuBr_2錯体については構造解析、高圧下電気伝導、比熱、磁化率、ESRの測定を行った。構造解析の結果、組成は(BEDT-TTF)_3CuBr_4であり、既報の組成(BEDT-TTF)_3CuBr_3とは異なること、またこの組成より推定されたCuの混合原子価状態は誤りであることが明らかになった。この化合物は59Kで構造相転移を起こし、また高圧下では半導体から金属状態に変化することを昨年度までの研究で示したが、本年度の磁化率の測定により7K以下で反強磁性転移を見いだした。また磁化測定により約6.5KOeにおいてスピン-フロップ転移が見いだされた。高温部分の磁化率はキュリーワイス則に従い、その反強磁性相互作用は約150Kと見積られる。磁性を担うCu^<2+>間距離は8Å以上離れておりその濃度も希薄であるため、このような大きな反強磁性相互作用は電荷移動によってBEDT-TTF上に生じたカチオンラジカルが関与していると考えられる。59Kの構造相転移に伴い磁化率は約半分に減少し、ESRのg値も不連続に変化することから、59KにおいてBEDT-TTF上のラジカルはスピン-パイエルス転移をおこし、その後残ったCu^<2+>の磁気モーメントが7Kで反強磁性転移を起こしていると考えられる。Co(SCN)_2,Mn(SCN)_2を含む錯体についてはESRの測定を行い、Mn(SCN)_2錯体は超交換相互作用によるスペクトルの分裂が観測され磁気モーメント間の相互作用は弱いが、Co(SCN)_2錯体では単一のスペクトルが観測され、BEDT-TTFのカチオンラジカルを通した磁気相互作用が期待される。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)