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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
これまでのところMOVPEでは窒素ドープによるp型不純物制御が因難であり,その理由として水素による窒素アクセプターの中性化がある。これを防ぐ一つの方法として,水素を脱離させる高温領域の成長が考えられるが,成長温度をあげると,n型伝導度制御も難しくなる間題があった。そこでこれまで報告されている減圧成長に対し,常圧MOVPEでZnSeにおけるヨウ素ドープを試み,580℃の高温領域まで1x10^<18>cm^<-3>に近い電子濃度制御が可能であり,光学特性も深い準位の発光が抑さえられた良好な特性が得られた。 この成果に基づき,560℃でターシャルブチルアミンを用いた窒素ドープを検討した。この窒素原料をそのまま供給した場合には,Znse層への窒素添加を示すDAペア発光は見られなかったが,成長系へ供給する直前に800℃程度に熱分解することによりDAペア発光の増大が見られた。またDAペア発光はターシャルブチルアミン供給量の増加とともに増加する。このようにした成長したp-ZnSe/n-ZnSe構造で測定したCV特性から,10^<16>cm^<-3>台のアクセプター濃度が見積られた。 これまでに青緑,青色レーザダイオードが報告されているが,いずれもレーザ動作時の電圧が高く,室温連続発振を達成するうえでの障害となっている。しかしその理由は十分には理解されていなかった。そこで金属/p-ZnSe界面の障壁高さを考慮してその検討を行った。3Mから報告された特性と計算結果を比較して,6桁に及ぶ広い領域でよい一致が得られた。この結果から,電流-電圧特性における動作電圧の上昇は,主にトンネル電流によっていることが解かった。またこの比較から,実際的なダイオード構造における金属/p-ZnSe界面のバリア高さを見積ることもでき,0.61eVと見積られる。この計算に従えば,バリア高さを0.3eV程度まで低くすることができれば,1kA/cm^2の電流密度に対しても動作電圧を5V以下にすることができ,アニール処理の最適化,ならびに最近提案されているその他のバリア高さを実効的に低減する方法によりレーザ特性の改善が可能と考えられる。
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