歯冠形質からみた東アジアの基層集団-その起源と分化に関する人類学的研究
Project/Area Number |
04208210
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
埴原 恒彦 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00180919)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1992: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 東南アジア / 縄文人 / ネグリト / 人類学 / 歯 / 頭骨 |
Research Abstract |
現在の東南アジア集団の表現型はいわゆる置換説、あるいは北方単一起源説によって説明されるのが最も一般的である。これは、東アジアにおける新石器時代以降の急激な人口の増大とそれに伴う南方への大規模な拡散、その結果による東南アジア先住民-オーストラロイド系集団-との混血、吸収、置換という仮説である。東南アジアの辺縁部に点在する採集狩猟民ネグリトはこのような混血から免れた東南アジアの最古層集団としてよく知られており、多くの成書にも彼らは東南アジアにおけるオーストラロイド系集団として記載されている。しかし、彼らの歯冠形態、頭顔面骨形態はオーストラリア原住民、あるいはメラネシア諸集団よりもむしろ東南アジア集団、特にその島嶼部の集団に類似することが明らかとなった。このことはまた、古人骨資料のダイアクローニックな検討によっても指示された。以上の事実は、現在の東南アジア集団の原型がこの地域における集団の小進化によって形成されたのではないかという可能性を示唆する。一方、東南アジア集団の形質的特徴は、太平洋民族、縄文人とも共通するところが多く、彼らの起源に関する研究においても東南アジア集団の小進化を無することはできないものと思われる。 以上、本研究では、従来考えられていた東アジアの北方単一起源説はそのまま形では受け入れることはできないこと、すなわち、東南アジアにおける地域小進化を考慮しなけばならないこと、またこのことによって、縄文人、太平洋地域集団の形質的特徴がより具体的に説明され得ることが明らかとなった。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)