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¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 1992: ¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
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Research Abstract |
本研究の第1の目的である大規模な火山噴火が地球規模の気候にどのような影響を与えるかについては,(1)日本および世界の過去2000年間の爆発的火山活動についてこれまで記録されたデータをデータベース化し,(2)テフラのガラスについての地球化学布分析をつうじて火山エアロゾルの放出量を推定した.(1)については,噴火規模,発生頻度と気候との関係をみると,テフラの総量が0.1km3以上に達する噴火は,16世紀以後のいわゆる小氷期に高頻度(世界的には数年に1回)で発生し,気候の寒冷化と関係があると結論されるに至った.また(2)については,火山ガラス放出量推定方法がほぼ確立し,今後事例を増やすとともに,氷河氷のなかに閉じ込められたかつてのエアロゾルの濃度測定などの,別な方法とのクロスチェックが必要であることがわかった. 第2の目的である噴火が火山近傍の自然生態系にどのような影響をもたらすかについては,北海道,九州各地で,歴史時代のものについては樹木年輪の解析を通じ,また先史時代のものについては,地形地質などの分析を通して接近した.その結果,年輪幅の変化に噴火の影響が明確に現われること,また平野の堆積物や地形に大噴火の際の諸事変を読み取ることができ,大噴火が人間社会へ著しい打撃を与え,歴史を大きく変化させることがわかった. このほかイタリアヴェスビオ火山西暦79年の噴火後の周辺地域の農村社会の変貌,また,テフラ研究にとって基礎的事項である1枚のテフラの認定方法などについての研究も進められ,成果が得られた.
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