過冷却液体中のイオン一分子反応におけるトンネル効果
Project/Area Number |
04215212
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮崎 哲郎 名古屋大学, 工学部, 助教授 (90023126)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | トンネル効果 / トンネル反応 / 低温反応 / プロトン移行反応 / イオン分解反応 / 放射線化学 |
Research Abstract |
液相反応においてミクロな初期過程を検討すると反応が分子配向の速度と競争的に起り、反応速度は時間に依存して変化する。同様な現象が低温トンネル反応においても見出されることが判明した。トンネル反応とは量子力学的トンネル効果により反応のエネルギー障壁を透過し、活性化エネルギーが零となり低温でも反応が起る。さらにこの反応には著しい同位体効果が現われる。分子配向の速度はアレニウス式に従って温度の低下と共に減少する。一方トンネル反応は速度は遅いが温度に依存しないため、低温ではトンネル反応と分子配向とが競争的になる。その結果、トンネル反応の速度定数は時間依存性を示す。 1。低温エタノール中におけるベンゼンアニオンへのプロトン移行反応エタノール・ベンゼン混合物を77Kで放射線照射するとC_6H_6^-が生成する。このアニオンはエタノールと反応しC_6H_7になる。 C_6H_6_-+C_2H_5OH→C_6H_7+C_2H_5O^-(1) 重水素化エタノールの場合は反応が遅くなり、大きな同位体効果がみられ、これはトンネル反応であろう。この場合、数μs以下で起る速い反応と100μs以上で起る遅い反応とから成り立っている。 2。2,3-ジメチルブタンカチオンからのH_2脱離反応 2,3-ジメチルブタン-SF_6を77Kでγ線照射するとジメチルブタンカチオンからH_2が脱離してテトラメチルエチレンカチオンが生成する。 (CH_3)_2CH-CH(CH_3)_2^+→(CH_3)_2C=C(CH_3)_2^++H_2(2) 重水素化ジメチルブタンを用いると反応は著しく遅くなりトンネル効果が関与している可能性が高い。反応(2)は急速に反応する部分と、極めて遅く反応する部分から成り立っている。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)