トランジェントグレーティングによるコヒーレートに励起された溶液分子の拡散過程
Project/Area Number |
04215215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺嶋 正秀 京都大学, 理学部, 講師 (00188674)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 過渡回析格子法 / 溶液ダイナミックス / 拡散 / ラジカル拡散 |
Research Abstract |
溶液中における分子の拡散過程を直接的に測定するため、まずトランジェントグレーティング(TG)法を基礎とした検出系を作りあげた。購入したミラー類とパルスレーザーシステムを用いて吸収係数が0.001程度の薄い溶液でも測定可能な、感度の高い測定系を組むことに成功し、メチルレッド(MR)等のシス-トランス異性化を起こす色素を用いて、溶液中での運動を捕らえることが出来た。またその信号を理論的に考察することにより、拡散係数を測定できることを示した。次にこの手法を用いてアルコール系やベンゼン系などの種々の溶媒中での拡散係数を決め、溶液ダイナミックスの点から論じた。また購入した温度制御装置を用いて、低温における測定が可能なシステムに改良し、-40℃までの温度領域で溶液ダイナミックスを調べた。その結果、あらゆる温度、種々の溶媒中での拡散はストークス-アインシュタインの式を改良した補正式でよく再現されることを見いだした。次にこのTG法の非常にユニークな応用測定法として、過渡的にしか存在しない不安定ラジカルの拡散係数を測定する手法を開発した。この手法が実際の系において有効であることを、多くの水素引き抜き反応を用いて示した。その結果、驚くべきことに、分子体積が一定であっても、ラジカル種は安定分子種より拡散係数が一般に3〜4倍遅いことを発見した。この結果は、特殊なラジカル一溶媒相互作用が関与している可能性を示している。現在更に検討を続けており、その相互作用を明らかにしていく予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)