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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
1.ドナーで架橋安定化されたビス(シリレン)錯体は,架橋原子が16族元素に限られていた。本研究により,新たに15族元素を架橋原子とするアミノおよびホスフィノ架橋ビス(シリレン)鉄錯体の合成に成功し,アミノ架橋錯体については結晶構造も明らかにした。 2.ゲルマニウム上の塩素をルイス塩基存在下銀塩で引抜くことにより,鉄錯体としては初めてのカチオン性のゲルミレン錯体および前例の全く無なったジカチオン性のゲルミリン錯体の合成に成功した。 3.シリレンを架橋配位子とする二核錯体については,新たに鉄と同族のルテニウムを含む,FeRuおよびRuRu中心を持つ錯体の合成を行った。また,ホスフィンなどの電子供与性配位子を含む誘導体を幾つか合成した。各種分光学的研究から,これらの錯体の2つの金属および架橋ケイ素部分はかなり電子豊富になっており,カチオン性シリリン架橋錯体の前駆体として適していることがわかった。 4.最近合成に成功した,シリレン架橋錯体としては初めての常磁性錯体について固体の磁化率をSOUID法によって測定し,固体でも10K〜室温の温度範囲で三重項基底状態をとっていることを明らかにした。 5.ゲルマニウムで架橋された二核錯体については,カチオン性ゲルミリン架橋錯体を初めて合成し,その結晶構造を明らかにした。また,t-ブチルゲルマンと(η^5-C_5Me_5)Fe(CO)_2SiMe_3との光反応で,ゲルミレンで二重に架橋された二鉄錯体が非常に高収率で得られることを見出した。t-ブチルシランを用いた同様の反応では,単核のシリル錯体しか得られないので,この生成物の大きな違いは興味深い。
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