カルコゲン原子がπ電子系に及ぼす相互作用とその構造特性
Project/Area Number |
04217220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
深澤 義正 広島大学, 理学部, 教授 (50004502)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | C-S結合の伸長 / pπ-σ*相互作用 / 軌道間相互作用 / X線構造解析 / synperiplanar / 2,11-ジチア[3.3]オルトシクロファン / 相互作用の角度依存性 |
Research Abstract |
分子内のπ電子系とそれに隣接するσ結合の相互作用は分子の様々な性質に影響を与えることが知られている。カルボアニオンが隣接する硫黄原子によって安定化される機構もこの相互作用(pπ-σ*)が原因であるとする説が有力である。この説から導かれる重要な結論の一つは、α位の硫黄のみならず、β位の硫黄も安定化に関与し得る点であり、アニオンの電荷が、σ*軌道に一部移動することによって起こるC-S結合の仲長や、軌道間相互作用の構造依存性からもその存在を検討できる。本研究は、これらの現象を実験的に観測することによって、志論のみで提唱されている安定化効果にたいして、実験の面からその正当性を確立したものである。アニオンの軌道と同様な役割をし得る軌道として、HOMOのエネルギーの高い芳香環を選び、pcriplanarにC-S結合を配置させるために含硫黄架橋鎖をもつシクロファンを選び、それらのC-S結合仲長をX線構造解析により観測した。2、11-ジチア[3.3]オルトシクロファンには二種類のC-S結合が存在し、一方が他方より長い。C-S結合とπ電子系の幾可学的な相対配置も両者で異なっており、結合仲長が観られないC-S結合はπ電子系とsynclinalの配置であるのに対して、仲長している結合はπ電子系とsynperiplanarに近くなっていることがわかった。このことからpπ-σ*相互作用はπ電子系とσ*軌道の幾可学的な相対配置によってその大きさが変化し、pπ-σ*相互作用の角度依存性が実験的に確認された。さらに、相互作用が環状化合物の立体配座に及ぼす効果についても検討した。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)