Project/Area Number |
04224104
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
前川 禎通 名古屋大学, 工学部, 教授 (60005973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 攝郎 東京大学, 教養学部, 教授 (80013499)
小口 多美夫 金属材料技術研究所, 主任研究官
藤原 毅夫 東京大学, 工学部, 教授 (90011113)
興地 斐男 大阪大学, 工学部, 教授 (20029002)
長谷川 秀夫 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (70013539)
金森 順次郎 大阪大学, 学長 (10028079)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥10,200,000 (Direct Cost: ¥10,200,000)
Fiscal Year 1992: ¥10,200,000 (Direct Cost: ¥10,200,000)
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Keywords | 金属人工格子 / 巨大磁気抵抗 / 電子構造 / 分子動力学 / 人工格子界面 / 電気抵抗 / Fe / Cr人工格子 / 磁気構造 |
Research Abstract |
金属人工格子の特徴の一つは、それが多層構造を持つこと、もう一つは、金属電子の持つスピンと電荷とが各々独立に重要な役割を果たすということであろう。金属人工格子における垂直磁気異方性、磁性層間の交換結合などの新しい現象は、多層構造とスピンの自由度からもたらされていると考えられる。また巨大磁気抵抗効果は、層状構造、スピンおよび電荷が絡み合って生み出されている。これらの現象は、金属人工格子の電子構造と密接に関係している。本研究の特徴は、金属人工格子の物性が、電子構造と関連づけられて微視的立場から研究されている点にある。まず、巨大磁気抵抗効果に関して、以下の事柄が明らかにされた。界面近傍の原子配列の乱れによって生ずる、スピンに依存した不規則ポテンシャルが磁気抵抗に重要であることを指摘され、巨大磁気抵抗効果の物質依存性が電子構造と関連づけられて調ベられた。この界面近傍の不規則性と磁気抵抗の関係は、コヒーレントポテンシャル近似と久保公式を用いて調べられている。これらの結果は、どのような金属の組合せで、どのように界面を制御すれば良いかの指針を与えてくれると考えられる。また磁気抵抗効果の温度依存性も調べられ、磁気抵抗効果が大きければ大きいほどその温度依存性も大きくなることが示された。更に、LMTO法による電子構造の計算がFe/Cr人工格子に対してなされ、フェルミ速度の磁場依存性が磁気抵抗効果に影響を与え得ることが示された。金属人工格子は層状構造を持つため、層に平行な電流と垂直の電流とでは、磁気抵抗効果が異なる。最近では粒状不規則性を持つ薄膜においても、巨大磁気抵抗効果が測定されている。今年度においては、これらの現象を取り扱う理論的手法が開発された。金属人工格子の磁性に関する研究成果としては、以下の事柄があげられる。CoまたはFeと貴金属からなる多層膜の電子構造がLMTO法により計算され、その垂直磁気異方性エネルギーが価電子の関数として表されることが示された。また磁性層間の磁気的結合に関する定量的計算も進められている。近来、窒化鉄の薄膜において鉄原子が巨大磁気モーメントをもつとの報告がなされている。種々のFe-N人工格子の電子構造、磁性および内部磁場分布の計算が局所密度汎関数法によりなされている。特にFe_4Nにおいて、金属・絶縁体転移の前駆的ふるまいのあることが見いだされた。既に述べたように、人工格子の物性に対し、界面近傍の原子配列の様子が重要である。電子論に基づいて第一原理から原子配列を決定する手法の開発が、APW法または擬ポテンシャル法と分子動力学を組みあわせて進められている。この方法が銅薄膜の構造最適化に用いられている。この分野の研究は徐々にではあるが進んでおり、上述の手法がd電子を含む系に適用され始めたのが成果といえる。
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