Project/Area Number |
04225221
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀 洋 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (20127294)
|
Project Period (FY) |
1992
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
|
Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
|
Keywords | ヘム蛋白質 / 一酸化窒素 / 光解離中間体 / 電子スピン共鳴 / 磁気双極子相互作用 / スピン・スピン交換相互作用 / シトクロームP450 / 基質結合 |
Research Abstract |
ヘム蛋白質の研究においてEPR分光法は不対電子を持つ金属をプローブとして活性中心の配位子、基質結合構造や酵素反応機構等、構造と機能を追究する重要な手段となる。一酸化窒素(NO)は電子スピンS=1/2を持ち、電子スピンS=5/2または1/2の金属錯体に配位すると「EPR不活性」となる。両スピン間の強い相互作用を光照射で弱めると弱いスピン相互作用によるEPRが観測される。極低温でトラップされた光解離中間体分子種のEPR吸収は解離した配位子と中心金属間距離情報、周辺アミノ酸残基の立体構造を反映するから、ヘム蛋白質における配位子分子結合過程の動的解析、基質反応機能と構造の相関の議論が可能になる。P450中、X線結晶構造解析の進んでいるシトクロームP450camを用い、酸化型NO複合体の極低温に於ける光解離中間体のEPR解析と基質結合部位の立体構造の相関を明らかにする事を試みた。camphor非存在下のNO複合体を5Kで光照射するとP450特有の高スピン吸収と、NO非結合で見られる低スピン吸収が現われた。これらのEPR吸収には磁気双極子相互作用に因る線幅増大はほとんど見られない。この事は光解離したNO分子はヘム鉄からかなり遠くまで動き得る程ヘム空間が広い事を示唆している。NOが解離した結果、本来の配位子が再結合し低スピン吸収を出現させたと考えられる。第六配位座が空の状態のものもある事は高スピン吸収の存在から窺える。一方、camphor存在下での光解離中間体のEPRは基質非存在下とは異なりゼロ磁場側付近から高磁場にかけて幅広い特異な吸収が観測された。基質結合にともないヘム空間の立体障害が大きくなりNOが完全に光解離せず、ヘム鉄のスピンとNOのスピンのスピン交換相互作用による異常な吸収が現われたと解釈できる。camphorより小さい、あるいはより大きい基質存在下での光解離中間体のEPRのより詳細な実験・解析を進めている。
|