核酸塩基の求電子的アミノ化反応:N-アミノ体を中間体とする新規修飾塩基類の合成
Project/Area Number |
04226211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
幸田 光復 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (60124286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川添 豊 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (80106252)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | アミノ化 / 核酸塩基 / DNA修飾 / 発癌 |
Research Abstract |
生体内DNAに対する発癌、突然変異誘発に関連する反応として、求電子的アルキル反応、求電子的アリールアミノ化反応、ラジカル反応、およびラジカル的酸化反応等があげられる。このうちアルキル化反応については、これまでに多くの研究がなされてきているが、アミノ化反応についての知見は少ない。我々は発ガン性4-hydroxyaminoquinoline 1-oxideの核酸に対する反応性を検討してきたが、なぜ主生成物グアニン残基C8位のアリールアミノ体であるかに興味を持ち、それを解明する事を目的とし、核酸塩基に対する単純な求電子的アミノ化反応についての基礎実験を始めた。反応試薬としてNH20S03H(HAOS)やNH20-(2,4-dinitrophenyl)(DNPA)を用い、種々の条件下、A、G、C、T、U誘導体に対する反応を検討してきた。その結果、環上窒素にアミノ基を導入したすベてのN-NH2体を合成できた。またグアニンのC8位へのアミノ体もHAOSとの反応で得られ、その生成機構がN7-アミノ体を経由することを明らかにした。その他、N-NH2基は官能基であるため、N-CH3基とは異なり、種々の興味ある反応性を示すことも明らかにしてきた。今回は我々の一連の仕事の中で、N-NH2基の塩基性、および環に及ぼす電子的効果、更にはNaNO2処理による脱アミノ化機構について詳しい検討を行なったので報告する。 N-NH2基の塩基性はC-NH2基のそれに比べ著しく弱く、N-aminouracilやN-aminothymineはpKa-1.7〜-0.2であった。また3-アミノ体の方が1-アミノ体より若干強い塩基性を示した。N-aminocytosineではN-NH2基のプロトネーションはジカチオンとなるにも拘らず、pKa値はN-aminouracilとほぼ同じ値を示した。他の部位のpKa値の比較より、N-NH2基は電子吸引的に働いていることが示された。N-aminooyrimidineのUVスペクトルは対応するN-methylpyrimidineのそれと全く同一であり、N-NH2基の芳香環のπ電子に与える電子的摂動はN-CH3基が超共役により芳香環に与える電子的効果と同一であることが分かった。強酸性におけるN-NH3^+体のUVは対応するN-Hのそれと同一であり、プロトネーションにより、もはやN-NH2の寄与は無くなる事が示された。N-aminopyrimidineのN-NH2基はNaNO2処理による瞬時に脱アミノ化されたがN-methylaminoprimidineではN-NHCH3基は脱アミノメチル化されず、安定なニトロン体となった。N-methylaminopyridineではNaNO2処理により脱アミノメチル化が進行し、その機構は、まず脱メチル化が進行し、引き続き脱アミノ化が進行することが明かとなった。その他、3-aminothymidineがhuman T-cell acute lymphoblastoid leukemia cellに対し強い殺細胞性を示すことが明かとなり、N-NH2基の生物に及ぼす効果について興味が持たれた。
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Report
(1 results)
Research Products
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