電子エネルギー損失分光法による金属・半導体クラスターの振動状態及び電子励起状態の研究
Project/Area Number |
04230202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
須藤 彰三 東北大学, 教養部, 助教授 (40171277)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | カーボン60(60_<60>) / 高分解能電子エネルギー損失分光 |
Research Abstract |
計画班が、東北大学金属材料研究所に設置した高分解能電子エネルギー損失分光器(HREELS)の整備・調整・電源の改良を行なった。その結果、7meVの分解能が得られ、比較的容易にエネルギー損失スペクトルが測定できるようになった。このHREELSに、金属・半導体クラスターを蒸着するための試料準備用超高真空槽を設計・製作した。HREELSは、非常に表面感度が高く、双極子モーメントが大きければ、1/1000原子層程度の吸着量でも測定が可能である。さらに、全ての基準振動モードの観測が可能で、入射電子の双極子散乱により赤外吸収と等価なスペクトル、衝突散乱によりラマン散乱と等価なスペクトルが観測される。これらの特徴を用いて、Si(100)2×1表面に吸着したカーボン60(C_<60>)の振動モードの膜厚依存性について測定を行なった。C_<60>は、テトラハイドロフランで超音波洗浄し、さらに、真空蒸溜を行なうことによって得られた高純度試料を用いた。平均膜厚5オングストローム(約半原子層)では、大きなピークが65meVに観測された。さらに、42、56.72.144.177meVに小さなピークが観測された。さらに、平均膜厚12オングストロームでは、96、160、191meVのピークが観測された。GensterblumらのSi(100)表面上のC_<60>蒸着膜(平均膜厚60Å)のHREELS測定と比較すると、65meVのピークを除いて、ピーク位置と強度は対応しない。観測されたピークの起源を明らかにするために角度依存性を測定した。その結果、65meVのピークは赤外活性なモードであることが示された。それ以外のピークは、赤外活性モードと衝突散乱モードの中間的様相を示す。これらの結果は、SiのダングリングボンドからC_<60>への電荷移動が小さい。ファンデンクールス吸着であることを示唆する。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)