Project/Area Number |
04233213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
平岡 賢三 山梨大学, 工学部, 教授 (80107218)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 星間塵 / アンモニア / 物質進化 / トンネル効果 |
Research Abstract |
物質の進化が活発に行なわれている暗黒星雲に多く存在するアンモニア分子の生成機構に関して、星間塵が反応場となる可能性を検討した。実験法としては、極低温冷凍機のコールドヘッドに窒素プラズマによって生成した活性窒素を蒸着する。これを、水素原子を含む活性窒素と反応させる。もし水素原子が固体内を拡散し、窒素原子を遂次反応で水素化すれば、固相内でアンモニア分子が生成する筈である。10〜30Kで活性窒素を低温基板上に真空蒸着したところ、強い緑色の発光が観測された。このルミネッセンスを分光計測した処、発光が励起窒素原子の禁制遷移^2D→^4Sに対応することが分った。従って、プラズマスプレーにより活性窒素を冷却した基板に蒸着することにより、窒素原子を窒素分子マトリックス中に低温捕捉することができることが分る。約20000分子層の活性窒素薄膜を水素プラズマスプレーで10時間処理し、反応生成物の昇温脱離マススペクトルを測定した。アンモニアの生成に由来するm/z=17のピークが窒素マトリックスの脱離する35〜40Kにおいて観測された。これは、活性窒素薄膜の表面近傍で、窒素原子の水素化が進行して、アンモニア分子が合成されたことを示す。次に、水素原子の膜内への拡散距離に関する情報を得るために、200分子層の活性窒素薄膜の水素プラズマ処理の繰り返し実験を100回行い、生成物を積算した。この試料では、アンモニア分子に由来するm/z=17のシグナルが、凍結したアンモニアが脱離する温度(〜130K)において観測された。しかし、マトリックスの窒素分子が脱離する温度ではシグナルは観測されない。このことにより水素原子は少なくとも窒素薄膜中を200分子層拡散移動し、窒素原子を水素化し、生成したアンモニア分子が膜中で水素結合して網目構造を形成したことが分る。この結果から、星間塵は、アンモニアなどの星間分子の生成に重要な寄与を果していると予想される。
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