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¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 1992: ¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
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Research Abstract |
場モデルのうち,比較的一様性の高い偏微分方程式モデル(Poisson方程式)の超並列解法について研究し,新しい解法である「マルチグリッド前処理付き共役勾配法」を提案し、その数学的基礎づけ,収束特性,並列化評価を行った。マルチグリッド法は,その並列性により注目を集めているが,系に不均一性があった場合に収束連度が急激に悪化する。これを固有値解析により分析し、原因が孤立した固有値にあることを見出した。共役勾配法はグループ化した固有値群に対しては小数回の反復で収束することから,これと組み合わせることにより,高い並列性をもち,かつ収束効率のよい解法を得た。熱伝導率に場所依存性がある場合においても,完全に一様の場合とほぼ同一の反復回数で収束し,しかもメッシュのサイズに依存しないという特徴がある。またこのアルゴリズムを並列計算機AP-1000(64プロセッサ)に実装し,並列効率を測定した。キャッシュの影響ため超線形の台数効果を示し,並列処理の有効性が実証された。今後は移流拡散問題,不規則メッシュなどに同種のアルゴリズムの適用可能性について分析する。共役勾配法の前処理には,行列として正値対称でなければならないが,マルチグリッド法がこの条件をみたすための要件について分析した。ポストスムージングを行わないときは,Nエネルギー内積を用いれば,ポイントヤコビ,マルチカラーSSORなどの緩和法がこの要件を満す。プレおよびポストスムージングを行う場合は,通常の内積に対して,ポイントヤコビ,RBガウスザイデル,マルチカラーSSOR,SLOR,ADIなど広い緩和法が適用できる。このように,本研究の成果であるマルチグリッド共役勾配法は,数学的な基礎づけも明確であり,並列機上での実用性も高いことが示された。
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