Project/Area Number |
04236214
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
大串 健吾 京都市立芸術大学, 音楽学部, 教授 (00203745)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
音楽演奏における感性情報として、複数の演奏者が同一曲のピアノ演奏を聴いたときの印象の違いを支配する情報のうちで特に重電だと言われている打鍵のタイミングについて考察した。すなわち、(1)演奏の差異はどのように体系的に分類できるのか、(2)どのような演奏が好まれるのか、という問題を心理実験および演奏音の物理的分析により探求した。実験のための演奏曲目は、ショパンのワルツ第9番(別れのワルツ)の一部分とした。演奏者は京都市立芸大のピアノ専攻大学院生および卒業生8人で、3種類の意図で演奏した。心理実験および物理分析の結果から、上記24の演奏は「テンポの速さ」と「テンポのゆらぎ」のほぼ独立した二つの要素により分類できることが明らかになった。前者は、「幻想性」、「理知性」、後者は、「表情の豊かさ」、生き生きした印象」等で心理的には特徴づけられている。また、各演奏の心理的印象とタイミング(打鍵時間間隔)の相関係数はかなり高く、タイミングは演奏の印象にかなりの影響を与えていることが明らかになった。さらい、好ましいと判断された演奏は、テンポが中庸で、かつテンポのゆらぎが大きいという両条件を満たしたものであった。しかし例外として、特定の演奏者はペダルの使用法が優れており、このことによって、その演奏者の音色の透明感が高いと評価されることによって、タイミングにおいては他の好ましい演奏とは異なっているにもかかわらず、全体的には好ましいという評価がなされた演奏があった。今後、ペダリングに関してはもう少し詳細な検討を行う。さらに、演奏の好ましさ(良さ)の個人差の分析とその要因の解明も、感性情報処理の分野の研究として重要な課題であるので、次年度に行う予定である。
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