Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
1.家兎膝蓋腱の力学的性質に及ぼすひずみ速度の影響 家兎膝蓋腱の高速引張試験を行い,その力学的性質に及ぼすひずみ速度の影響について検討を行った。ひずみ速度が約2000倍に増大すると,弾性係数は変化しなかったが,引張強度は50%,破断伸びは70%増大した。以上の実験結果から,膝蓋腱の力学的性質に及ぼすひずみ速度の影響は比較的小さいことがわかった。 2.負荷の増減による腱および靭帯の力学的性質の変化 膝蓋骨と脛骨結節の間にポリエステル製の人工靭帯をかけて,家兎の膝蓋腱に作用する荷重を正常の約30%に減少させた。以上の手術を施した家兎を一定期間飼育した後,膝蓋腱の力学的強度を測定した。引張強度や弾性係数はかなり低下し,引張強度は6週後には正常群の約50%になった。しかし断面積が増大したので,膝蓋腱全体が破断するときの荷重(最大荷重)は変化せず,正常なレベルに維持されていた。 膝蓋腱または前十字靭帯の一部を切除して断面積を減少させることにより,負荷(応力)を増大させて、その力学的強度に及ぼす負荷の増大の影響について検討を行った。膝蓋腱では,弾性係数,引張強度,破断伸びなどの材料特性に変化は現れなかったが,断面積が増大したので腱全体が破断するときの荷重は増大した。一方,前十字靭帯では,作用する負荷を正常の1.3〜1.5倍に増大させても材料特性や断面積に変化は現れず,また4〜8倍に増大させると弾性係数と断面積がかなり減少した。 以上の実験結果から,膝蓋腱はある程度の力学的環境の変化に対しては断面積や材料特性を変化させることにより適応することができるが,前十字靭帯は負荷の増大に対して十分に適応することができないと考えられる。
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