Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Research Abstract |
本研究は,生体組織の力学的適応現象を解明するための最適な研究対象のひとつとして,歯科矯正における歯槽骨の適応変形に着目し,(1)歯根部応力と歯槽骨吸収量を推定できる新たな手法を考案し,(2)歯牙移動現象の基本量とされる歯根部応力と歯槽骨吸収速度の定量測定を矯正治療患者における実測データを基に行い,(3)歯根部応力と骨吸収の因果関係を解析して,生体の力学的適応現象を体系化するための基礎資料とすることを目的とする。本年度は,以下の成果を得た。 1.歯槽骨適応変形に関する計測法として,歯根部における歯槽骨吸収量と応力分布を推定する手法考案した。骨吸収量は,我々が開発してきた歯列模型三次元解析システムを用い,歯の三次元移動量より求め,応力分布は,歯,歯根膜,歯槽骨からなる力系の三次元有限要素解析より算出される。これらの算出値から,単位応力当りの適応変形速度を得ることができる。 2.パワーチェインによる矯正治療中の歯の三次元移動量を経時計測し,上記の手法により,単位応力当りの歯槽骨適応変形速度を求めたところ,応力と歯槽骨吸収量はよい相関を示し,変形速度は4μm/g・mm^2・dayという結果を得ることができた。 3.矯正力と適応変形速度の関係を,犬歯の遠心移動量の経時測定から検討した。矯正力が350gと150gの2治療群で比較したところ,前者の移動量は後者の1.5〜2.5倍であり,一般的な矯正力の範囲では力と変形量は概ね比例することが示唆された。また,犬歯部の変形速度がほぼ一定であるのに対し,臼歯は治療後期の近心移動が見られた例を除き固定歯として作用することが0.1mmの精度で確認され,differntialforceの概念を定量的に把握できる足掛りを得た。
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