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¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Research Abstract |
生体が力学的環境下で構造や形状を改変していく機能適応性,すなわちリモデリング現象は,生体組織の成長と吸収に関係していると十分予想されるが,その決定的な支配法則は見いだされていない。そこで本研究では,具体的な臨床例として特発性脊柱側弯症に注目し、その発生と進行を力学的な適応機構の結果と見なすことで,計算機シミュレーションにより,生体の持つ力学的機能適応性を究明することにある。当該年度では,全脊柱解析モデリングのために以下の基礎研究を実施した。 1.健常脊柱のin vivo三次元動態計測:屈曲,伸展運動中における腰椎の動態を計測する手法を検討した。それには,北海道大学医学部附属病院の放射線科および同整形外科の協力を得て行った。その結果、体幹運動中における各脊椎間の運動量が定量化され,各腰椎間で明らかな位相差が生じることが確認された。また,各椎間板の内部ひずみ分布を推定する手法を検討し,各腰椎間によるひずみ分布の相違が明確となった。 2.全脊柱有限要素モデルの構築:骨格標本から基本的な全脊柱三次元形状モデルを作成した。そして,脊柱弯曲モデルと真直モデルを作成し、様々な負荷条件による三次元解析を行った。その結果,ヒトの脊柱の生理的弯曲は,体幹の運動性に関し重要な力学的機能を有していることがわかった。 3.椎間板の内部弾性率分布の測定:独自の組織力学的な実験により屍体椎間板の横断面圧縮弾性率を推定する手法を検討し,椎間板の弾性率分布を算出した。これには,モデル材料にポリウレタンを用いた。その結果,線維輪の弾性率は一様ではなく,椎間板後方部位で弾性率が非常に低いことがわかった。
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