ダイナミックスによる耳音響放射発生機序の理論的解明

• Project/Area Number: 04237204
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
• Allocation Type: Single-year Grants
• Research Institution: Tohoku University
• Principal Investigator: 和田 仁 東北大学, 工学部, 教授 (30111264)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 大山 健二 東北大学, 医学部, 講師 (10152266) ; 小林 俊光 東北大学, 医学部, 助教授 (80133958)
• Project Period (FY): 1992
• Project Status: Completed (Fiscal Year 1992)
• Budget Amount: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000); Fiscal Year 1992: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
• Keywords: 耳音響放射 / 数値計算 / 外有毛細胞 / 能動性 / トーンバースト / ファーストコンポーネント / スローコンポーネント

Research Abstract

"耳から音が出てくる"という興味のある現象が発見された。耳音響放射(Otoacoustic emissions:OAE)と呼ばれているこの現象は、蝸牛内外有毛細胞のアクティブな機械微小振動の外耳道への放射とする説が、現在の所最も有力である。なぜなら、ヒトの場合、OAEは正常耳からほぼ100%の確率で検出され、薬害や高齢のため外有毛細胞に障害をきたした高度難聴者からは検出されないからである。従って、現在有用な検査法の少ない内耳機能を評価する手段として、臨床応用が期待されている。しかし、OAEについては不明な点が多い。
そこで本研究では、まずOAE測定システムを構築し、トーンバースト刺激音に誘発される誘発耳音響放射の計測を行った。次に、外有毛細胞のアクティブな働きを組み込んだ、OAE計測装置の出力に対応する式を導出し、種々のパラメータを変えて数値計算を行い、計測結果と比較することにより、OAE発生機序の本質的な解明を試みた。その結果、以下のことが明らかとなった。
1.OAEには潜時が短く入出力特性が線形に近いfirst componentと、潜時が長く非線形な入出力特性を有するslow componentが存在する。
2.入力音周波数に対応する特徴周波数部位と、その周波数より数百Hz高い特徴周波数を有する部位の間で、外有毛細胞の能動的な働きが他の部位より強い場合に、first componentが現れる。
3.外有毛細胞の能動的な働きが前述2よりさらに強くなると、slow componentが現れる。

Research Products

• [Publications] 和田 仁: "正常耳におけるDPOAEの計測" 日本機械学会論文集.