分子ポテンシャル理諭に基づく筋収縮運動シミュレーション
Project/Area Number |
04237218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仲町 英治 大阪大学, 工学部, 助教授 (60099893)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 筋収縮 / 分子ポテンシャル / アクトミオシン / サルコメア / 生体材料 / 骨格筋 / 心筋 |
Research Abstract |
本研究では、横紋筋で構成される筋、つまり、骨格筋および心筋の収縮運動メカニズムの解明のために、ミオシン・アクチン分子レベルで定義された現象論的分子ポテンシャル理論に基づいて筋収縮運動を解析する数理モデルを提案した。つまり、分子生物学の先端的研究成果と計算力学・コンピュータシミュレーション工学技術の成果の融合を目指した。筋肉を構成する系が開放系であり、筋収縮が能動的な運動であり、初期ゼロストレス状態の定義が必要であることなどから、内部状態変数表示の構成汎関数(ポテンシャル)を用いた閉鎖系に対する従来の材料モデル化と異なる筋収縮モデルが必要であると考えた。そこで、ATP加水分解によって得られる生化学反応・誘起ポテンシャルエネルギがミオシンの滑り運動エネルギに変換され筋収縮運動が生じる過程を、直接、ミオシン頭部の滑り運動に関する常微分方程式系を解くことで記述する手法を提案し、従来行われてきた受動的な筋肉の材料モデル化から能動的な生体材料モデルの構築のための新たな展開を示した。この筋収縮モデルによって、Huxleyの首振り説を否定した柳田らの再構成滑り運動実験観察結果をよく説明できることを示した。さらに、4種類のサルコメア単位の等張収縮、等尺収縮、クイックリリース収縮運動のシミュレーションを行い、他の研究者の実験結果との比較により提案したポテンシャル論に基づく筋収縮モデルの妥当性を示した。現在は、興奮収縮連関と呼ばれるマクロレベルでの筋収縮運動の解明のために、ミオシン・アクチンの分子レベルから、サルコメア、筋束、そして筋原線維まで、階層構造を上り詰めることのできる収縮運動系のモデルの構築を検討中である。この場合には、神経からの刺激によって引き起こされるアクトミオシン間のポテンシャル場の変動・ATP加水分解がカルシウムイオン濃度の変化と関係していることからこの数理モデルを構築した。ミクロレベルの分子ポテンシャル理論と筋収縮運動を律するマクロレベルの制御理論の融合によって筋収縮運動系の数理モデル化が可能となることを示した。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)