Project/Area Number |
04237219
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
菅 弘之 岡山大学, 医学部, 教授 (90014117)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 心臓 / 心室容積 / 心室内圧 / 心収縮性 / 酸素消費量 / 心力学 / 心エナジェティクス / Emax |
Research Abstract |
本研究者が、これまでの一連の研究で用いてきたイヌ摘出交叉潅流心臓標本を用いた。麻酔はネンブタールでおこなった。左心室の前面に電磁加振器を接触させ、70Hz、+2mmの正弦波振動を与えた。振動を与えるや否や、容積一定の等容積収縮の収縮期最大心室圧は20%程度低下した。すなわち、収縮性の指標のEmaxも20%程度低下した。この点はすでに知られている事実と一致する。この収縮力低下の機序は、クロスブリッジが振動により力を発生し難くなる状態になるのではないかと考えられている。この実験で、同時に測定している心臓酸素消費量と心室の機械的エネルギー産生量をあらわす収縮期圧容積面積(PVA)も低下した。ところが振動を加える前後で、酸素消費量-PVA関係を調べたところ、その関係は振動によってほとんど変化しなかった。通常は、陰性変力作用でEmaxが低下すると、その程度に比例して酸素消費量-PVA関係も低下することを、これまで観察してきている。しかし、今回の結果は、そのようにはならなかった。このことは振動によるEmaxの低下の機序が特殊なものであることを示している。これまでの一連の研究から、酸素消費量-PVA関係の低下は、興奮収縮連関に与かる遊離カルシウム量に密接に関係すると考えられている。ところが、振動は心収縮力を低下させるが、その機序は、興奮収縮連関を抑制するのではなく、直接クロスブリッジの運動を抑制することを示唆している。なぜ振動がこのような結果を引き起こすのかは不明であるが、振動によってクロスブリッジの結合解離サイクルが不完全となり、ATPを消費して、力を発生する機会が少なくなるものと考えられる。
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