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¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
第一原理のハミルトニアンには電子間長距離クーロン相互作用V_cと結晶の周期ポテンシャルV_i,及び電子・フォノン相互作用V_<ph>がある.本研究では,まず,V_cの超伝導への効果を低電子密度電子ガス系で詳しく調べ,又,V_iやV_<ph>とV_cとの絡みが引き起こす効果を調べ始めた.1.ウィグナー格子状態近傍の超伝導:ウィグナー格子状態になるよりも少し密度の高い電子ガスでの超伝導を調べるために,交換・相関効果を局所場補正で取り扱い,対相関関数が近距離で零であることを取り込んだ電子間相互作用をエリアシュバーグ方程式の中で用い,運動量・振動数の両変数に依存するギャップ方程式を自己無橦着に解いた.その結果,s波超伝導が得られ,しかも,その転移温度T_cはRPA近似でのそれに近く,実験的に示唆されているT_cとフェルミ温度T_fの普遍的な関係式を再現した.尚,これはプラズマ・エネルギーω_pがT_fよりもずっと大きい場合のプラズモン機構のT_cにはパーテックス補正は効かないと解釈できる.2.電荷・スピン応答におけるバンド効果と多体効果の絡み:アルカリ金属は電子ガス系そのものと見られているが,これらは電荷・スピン応答の立場からは全然違う.それを実験事実からも明確にし,その違いはV_iの効果であることを示した.又,電子相関の電荷・スピン応答への効果に関して,電子ガスとハバード模型とでは全然違うこと,即ち,同じ「電子相関」という言葉を使っても,V_cのレンジの違いでまるで逆の物理的効果をいっていることを指摘した.3.ミグダルの定理を超えた理論の構築に向けた試み:フォノンのエネルギーがT_fと同程度の時,バーテックス補正を取り入れてグリーン関数を解かねばならない.この問題の解明に向けて,フレーリッヒ・ポーラロンを自己無橦着なグリーン関数法で考え直し,ワード・アイデンティティーを満たす形でバーテックス補正をすると,ほぼ正確な解が得られることを解明した.
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