Project/Area Number |
04240215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
生井澤 寛 東京大学, 教養学部, 助教授 (10012486)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 高温超伝導の発現磁構 / 拡張されたハバード模型 |
Research Abstract |
高温超伝導体は、CuO_2面を持つ酸化物で、イオン結晶性が強く、同一格子点上だけでなく、長距離でのクーロン斥力を無視できない。この斥力を最近接格子間の斥力v_0で代表させた模型(拡張ハバード模型)は、v_0が、同一格子点間の斥力u_0に対し、v_0>u_0/4、なら、半充填状態においては、相隣る格子点に、1価と3価のCuが交互に並ぶCDW相が基低状態となる。通常の模型とは異り、この状態では、スピンの自由度は凍結されており、磁性的自由度はない。この状態に、空孔または電子を注入すると、坦体数が少い限り電荷分布の秩序は保たれ、分極を通して、坦体間に引力が生ずる、勿論、坦体は、ホッピングによりバンドを形成するが、この引力によりクーパー対を形成することが判っている。 本研究では、この対間の引力が、S波単重項の超伝導状態を発現するに充分であり、局温超伝導を再現しうることを示した。さらに、注入された坦体によるしゃへい効果を取入れると、同一格子点上の斥力および最近接格子間の斥力が、坦体濃度とともに変化して、通常仮定されている磁気的基底状態(AF相)から、本研究の出発点となった非磁性的基底状態(CDW相)への転移が説明されることを示した。しゃへい効果を入れた時の超伝導転移温度の、坦体濃度に対する依存性も、実際の酸化物高温超伝導体の振舞をよく再現する。 実現すると考えられるCDW相は、AF相との相境界の極く近くに留まるので、磁性的なゆらぎが常に伴う。このゆらぎが、CDW的電荷秩序におおい隠す原因となると共に、現実の酸化物超伝導体が、常伝導相で示す様々の異常や、超伝導相で示す特殊性を説明する可能性を、今後の研究の課題としたい。
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