Research Abstract |
La_<2-x>MxCuO_<4+y>(M=Sr,Ba:0≦X≦0.1)において,Ar処理したものと高酸素圧処理したものについて,酸素量,相関係,超伝導性を検討した。結果,高酸素圧処理したものは過剰酸素を含み,すべて超伝導を示す。X≦0.04では低温で,過剰酸素を含む超伝導相と定比組成の半導体相に相分離していて,Sr,Baの置換により相分離は抑えられる。酸素量二相の量比から,超伝導相でのCuの平均原子価を見積ると,2.05以上のものは超伝導を示すことが分かる。また,この異常な相分離には,b軸の長さが関係している様にみえる。 Tl-2201超伝導体の場合,単相領域は金属の定比組成からずれた所に存在し,キャリアーの生成としては,酸素の下定比性のみならず,金属イオンの不定比性による電荷の不均衡が考えられる。この物質には正方のものと斜方晶相が存在するがTlがより欠損した領域で正方晶を示す。斜方晶は,La-214系のようなCuO_6八面体の傾きにより生じるものではない。核磁気共鳴実験からは,CuO_2での局所スピン帯磁率の特徴的温度変化,Cu-O結合軸方向でのナイトシフトの最大,反強磁性相関等,他の典型的高温超伝導体と共通の性質であるCu3dとO2P状態の強い混成が観測された。さらに,Tl-2201では,頂点酸素をとおしてのCuサイトとTlサイト間の超交換超微細相互作用の存在がはじめて観測された。これは,Cu3dと頂点酸素のO2S状態の混成すなわち共有結合性の存在を示している。 電子ドープ系の母体であるT'型(RE)_2CuO_4(RE:希土類金属)について反強磁性共鳴実験を行った結果,Eu_2CuO_4については共鳴が観測されなかった。固溶系における共鳴観測とμSR実験から,Eu_2CoO_4もまた反強磁性体で,内部磁場は約99KOe,ネール温度は約260Kであることが判明した。
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