Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
|
Research Abstract |
長距離近接効果を利用することにより、酸化物超伝導体の発現機構解明や酸化物超伝導体によるジョセフソン素子の作成が期待されている。しかし、いまだにこの効果の存在は確証を得ているわけではない。そこで、本年度は長距離近接効果の検証実験を行なうと共に,この効果を利用したジョセフソン接合の作成を行なった。 長距離近接効果を検証する目的で,PrBCO/YBCOの積層型二層構造を提案した。この方法は,二層であることから層間のピンホール結合という問題がなく,帯磁率測定をすることにより非接触測定が可能である。PBCOの厚みを変化させながら超伝導電子対の浸み出し量を測定した結果、常伝導金属による近接効果とは異なった特性を得た。 また,長距離近接効果を利用したジョセフソン接合の作成法として,PrBCOをバッファー層として用いたYBCO/PrBCO/STO/PrBCO/YBCOの五層構造素子を提案してきた。昨年度までの研究により,積層成長においてPrBCOは,YBCOに対して平坦に成長しその上にSTOを成長した際にも安定な平坦面が得られ,バッファー層として構造的に十分な材料であることが判明した。本年度は五層構造膜を微細加工してジョセフソン接合を作成し,電気的特性の測定を行なった。この素子はSNS型ジョセフソン接合に近いふるまいを示したが,微分抵抗特性からはエネルギーギャップライクな構造と超伝導電流が観測され,本素子の有効性が確認された。 今後,二層構造素子における近接効果現象を詳細に考察して長距離近接効果の解明をすすめるとともに,五層構造素子を用いて安定した特性を持つトンネル型ジョセフソン接合の作成を検討する予定である。
|