金属錯体の励起三重項状態における磁気的性質と動的挙動
Project/Area Number |
04242210
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
八木 幹雄 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (00107369)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | 三重項状態 / 電子スピン共鳴 / 励起状態 / 金属錯体 / ゼロ磁場分裂 / スピン分極 |
Research Abstract |
Zn(II)やCd(II)などの閉穀形金属イオンと代表的な配位子である2,2'ービピリジン(bpy),1,10ーフェナントロリン(phen)および関連分子種との錯体について,主として時間分解ESRの実験を行った。これらの実験結果に基づいて,従来金属錯体の電子状態の性格には影響がほとんど無いと考えられてきた閉穀型電子配置を持つ金属イオンが,金属錯体の励起三重項状態のゼロ磁場分裂ならびにスピン副準位の動的挙動において果たす役割について考察した。 bpy類を配位子とした実験から,次のことが明らかになった。 (1)ゼロ磁場分裂定数D値は配座により変化しないが,E値は大きく変わる。(2)スピン副準位生成速度は,トランス型配座では分子面内短軸方向に近い副準位が最も大きく,シス型配座では長軸方向副準位が最も大きい。Cd(II)錯体は遊離なシス型配位子と同じ異方性をもつ。 2,9ージメチルーphenを配位子とするZn(II)錯体のスピン副準位生成速度は,対陰イオンが過塩素酸イオンの場合は分子面内長軸方向副準位が最も大きく,配位子自身とほぼ同じである。しかし,塩化物オンの場合は面外方向副準位が最も大きく,配位子局存型励起三重項状態からの予測と全く異なる。 Zn(II)錯体のスピン副準位生成速度の異方性は,配位子局在型励起三重項状態からの予測と異なり,分子面外方向副準位が最も活性になる場合がある。このような特異的現象が現れる条件として,次の2点が挙げられる。(1)bpyあるいはphenの窒素原子に対してα位置の炭素原子にメチル基が結合していること。(2)中心金属イオンがZn(II)であること。 以上のように,従来配位子自身と差がないと考えられてきたZn(II)錯体のスピン分極の様相を,ある程度まで変えられることが分かった。
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Report
(1 results)
Research Products
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