Project/Area Number |
04242213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山内 淳 京都大学, 人間環境学研究科, 教授 (10027071)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Keywords | 有機ラジカル / 磁気相転移 / 反強磁性 / トルク測定 / トルク曲線 / 磁気異方性 / 臨界磁場 |
Research Abstract |
磁性分野の研究において近年介電子の示す磁気挙動が注目されているが、本研究ではその典型的化合物である有機ラジカルをとりあげ、その磁気的挙動を明らかにするのが目的である。有機ラジカルが有する電子スピンは低温において秩序配列をすることが明らかにされているが、これまで電子スピンの秩序相の解析はなされていなかった。磁気相転移においてはスピンは空間的にある特定の方向を向いた安定状態に入るが、この状態は何によって支配されるのか、有機ラジカルの磁気秩序状態はどのようなものかを明らかにするため、有機ラジカルの単結晶を用いた磁気異方性を測定し、スピン秩序状態の解析を行った。主な実験手段はトルク測定であり、用いた試料は3.25Kで反強磁性体となるp-クロロフェニルビスジフェニレンアリル(有機低次元磁性体の一権)である。トルク曲線は3.25Kまでは通常の常磁性体特有のsine曲線(180°周期)を示したが、磁気秩序状態に入ると極めて複雑なトルク曲線を示した。結晶のb軸がスピン容易軸と決定し、b軸を含む面内での磁場回転を行い、トルク曲線の特徴的挙動を明らかにした。これらの実験データの解析を行うため、2部分格子磁化、オルトロンビック磁気異方性および磁気交換組互作用が双極子相互作用より大きいなどの仮定のもとにトルクの理論曲線を求めた。実験との比較によりさまざまなパラメータがえられたが、中でもスピンを空間的に固定させる異方性磁場が約7Gと決定された。これは特徴的に小さな値であり、有機ラジカル結晶の双極子相互作用が小さいことに対応していると思われる。これに対し交換相互作用磁場は数万Gであるからいかに小さいかが分かる。これら2つの磁場の積の平方根できいてくる臨界磁場はトルク曲線の異常挙動にもあらわれていた通り、約1500Gと決定された。さらに理論解析を行うため結晶構造解析を現在行っている。
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