Project/Area Number |
04246214
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 清彦 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 助教授 (10172397)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 並列処理 / 大脳皮質 / コラム構造 / シナプス可塑性 / 報酬系 |
Research Abstract |
大脳皮質神経系は全体で2〜3百ミリ秒の内に感覚情報を処理し適切な運動指令を発現できる。その処理時間に比べて皮質神経細胞の発火頻度はかなり低い(高くて20〜30Hz)。本研究は上記の高速処理を実現する神経機構として視床下部報酬系によって制御された新皮質海馬系の仮説的計算機構を提示し、その妥当性を数理モデルを用いて検証するものである。平成2および3年度において、上記の神経系に関する解剖学および生理学データを収集整理し、この系の数理神経回路モデルとその計算機シミュレータを構成した。本研究はモデル解析およびシミュレーションから以下が示された:(1)神経細胞集団はミリ秒オーダの時間間隔を安定して記述できる。(2)皮質領野内の側抑制は上記の時間記述を用いて、より早く興奮を始めた神経細胞集団のみが他の集団を抑さえて出力を出すという競争的計算機構を実現する。この計算機構は最速の応答単位がその回路全体の出力結果を決定するという意味で最適並列処理の1つとなっている。(3)視床下部報酬系入力によって抑制された皮質可塑性が皮質神経回路を適応的に修正し、その結果、各領野における競争的計算機構が報酬行動を生起するように運動野コラムを興奮させるように働く。(1)と(2)から、各領野での処理が数ミリ秒で完了しうることが示される。これと(3)から、報酬学習の繰り返しによって皮質全体として2〜3百ミリ秒の処理が可能となることが示唆された。また、これらの結果は、提示した仮説的計算機構を生体神経系で検証するための生理あるいは心理物理学実験の設計に指針を与え、かつ脳神経系と同じ機構で働く高速並列計算回路の設計を可能とする。
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