音の参照・作業記憶過程における聴覚系と海馬系でのニューロン回路の変化
Project/Area Number |
04246216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
桜井 芳雄 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (60153962)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1992: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 作業記憶 / 参照記憶 / ニューロン回路 / ユニット / 海馬 / 聴覚 / ラット |
Research Abstract |
複数ニューロン間の機能的シナプス結合が、異なる2種類の機憶情報処理(参照記憶と作業記憶)に対応してどのように可塑的に変化するかについて、両記憶課題遂行中の複数ニューロン活動(ユニット)の相互相関解析(cross-correlation)を用いて検討した。被験体はアルビノラットであり、同一の刺激と時間変数のもとで、作業記憶課題と参照記憶課題を順次かつ短期間のうちに遂行させる方法をすでに確立してある。両課題遂行中の複数ユニットの同時記録を、海馬領域と聴覚皮質から行い、ユニットの各ペア間の相互相関ヒストグラム(コリログラム)を作成した。解析したユニットペアの総数は、聴覚皮質から23、海馬CA1から79、海馬CA3から40、歯状回から44である。まず、400ミクロン以上離れた電極間では、コリログラムのピーク、つまり機能的シナプス結合は全く見られなかった。200ミクロン以内の電極間や同一電極からのユニットペアでは、作業・参照記憶課題のドちらかでシナプス結合を示す例が、全ての部位で見られた。それらのうちでは、参照記憶ではなく作業記憶においてのみ結合を示す例がより多かった。また、作業・参照機憶課題の違いに関係なく固定的シナプス結合を示す例も見られ、それらは海馬領域に比べ聴覚皮質により多かった。個々のユニットの特異性との対応を調べた結果、作業記憶中にのみシナプス結合を示したユニットペアは、同じ特異性を持っているもの同士がほとんどであった。以上の結果は、記憶の種類に対応した動的な局所的回路(cell assembly)が存在すること、それらは約300ミクロンの範囲内にあること、それらが作業記憶でより機能すること、そこでの回路は同様に特異性を持ったニューロン同士によるpopulation codingを実現していること、新皮質は海馬領域に比べて固定的回路がより多いこと、などを示唆している。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)