Project/Area Number |
04246223
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船橋 新太郎 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (00145830)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 大脳皮質 / 前頭連合野 / 記憶 / サル / 神経回路 / 眼球運動 |
Research Abstract |
作業記憶の概念を用いると、ヒトや動物で観察されている様々な前頭点症状を、統一的に説明できる可能性が指摘されている。我々は、注視課題と記憶誘導性眼球運動を組み合せた遅延反応課題を用い、前頭連合野における作業記憶の神経機構を研究してきている。その結果、この課題を実行中のサルの前頭連合野から単一ニューロン活動を記録し、作業記憶の神経機構を反映すると思われる活動を色いだした。なかでも、遅延期間中の持続的ニューロン活動は、手がかり刺激が呈示される空間位置に依存して出現すること、眼球運動の開始とともに消失すること、誤反応時には出現しないことなどから、作業記憶における能動的な情報の保持機構を直接反映すると思われる。しかし、この記憶関連活動が、前頭連合野内に存在するどのような要素との相互作用により形成されるのかは明らかではない。本研究では、2種以上の活動が同時に観察されたニューロンで、各活動の性質の比較による活動間の相互作用の有無をもとに、作業記憶に関与する前頭連合野内の神経路回を明らかにしようと考えた。 前頭連合野の主溝とその周辺部から記録された468個の課題関連ニューロンのうち、158個で2種以上の活動が同時に観察された。各々の活動の最適応答方向ならびに方向のチューニング特性を求め、ニューロン間、ならびに同一ニューロンに見られる異なった活動間で比較した。チューニング曲線から得られた最大応答方向を同一ニューロンの異なる活動間で比較するため相関を求めたところ、手がかり刺激に対する応答と遅延期間中の興奮性活動の間、ならびに、遅延期間中の興奮性活動とpre-saccadic活動の間で、統計的に有意な正の相関が得られた。また、手がかり刺激に対する応答と眼球運動関連活動の間には弱い正の相関が得られたが、遅延期間中の興奮性活動とpost-saccadic活動の間には有意な相関は見られなかった。この結果は、前頭連合野に入力する視管情報が、遅延期間活動の方向選択性の発現に重要な役割を担っていることを示唆する。さらに、遅延期間活動の方向選択性とpre-saccadicの活動の方向選択性の間に高い正の相関が見られたことから、遅延期間活動は入力された視覚情報を保持し、その情報を運動関連ニューロンに伝えて適切な運動を発現させることにも関与していることが示唆される。一方、遅延期間活動とpost-saccaific活動の間には方向選択性に関して有意な相関が見られないこと、post-saccadic活動は遅延期間活動の停止に関与しているのではないかと考えられることから、post-saccadic活動は、特定の遅延期間活動を停止させるように機能するのではなく、非選択的に機能するリセット機構であることが示唆される。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)