歩行運動制御系と小脳・大脳基低核の可塑性シナプスとの機能連関
Project/Area Number |
04246231
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
有働 正夫 大阪大学, 健康体育部, 教授 (60009983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳原 大 大阪大学, 健康体育部, 助手
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 小脳 / 歩行運動 / 適応的制御 / 長期抑圧 / 一酸化窒素 / シナプス可塑性 |
Research Abstract |
小脳は運動の適応的制御に重要な役割を持つが、この適応の成立に関しては平行線維・プルキンエ細胞間シナプスの伝達効率の長期抑圧(LTD)がその基礎過程であると考えられている。長期抑圧の分子メカニズムとしては登状線維入力によりプルキンエ細胞にて一酸化窒素(NO)が発生するという機序が証明されている。我々はLTDが歩行運動中に加えられた外乱に対する適応過程において必要とされるかどうかについて除脳ネコでの歩行標本で調べた。歩行はトレッドミル上にて行われ、トレッドミルは三区画、すなわち左前肢、左後肢、さらに右前肢及び右後肢を駆動する部分に分割されており、外乱は左前肢のトレッドミルが他の三肢の二倍の速度で高速駆動されることによる。外乱が加えられ始めて、約50歩までは歩行周期が変動していたが、やがて安定した値を示し、この時期より、左前肢接地から右前肢離地までの両脚接地相が増大し、反対に右前肢接地から左前肢離地までの両脚接地相が単縮された。両脚接地相では左右の間で接地相の交代、すなわち体重を支持する脚の交代が行われ、この位相の制御は歩行の神経制御にとって重要な意味を持つ。これらの現象は、左前肢に加えられた外乱に適応するために左右の前肢間で新たな協調関係を成立させていることを示唆している。小脳虫部第V葉へヘモグロビン(100μM)を注入し、NO関連のカスケードを阻害することにより、適応は障害された。ヘモグロビン注入後でも、外乱が加えられない歩行では注入前と同様な歩行が可能であった。しかしながら、外乱が加えられた場合には、歩行周期は変動したまま安定した値を示さず、また右前肢接地から左前肢離地までの両脚接地相が非常に変動したまま一定の値に収斂しなかった。これらの結果から、歩行中に加えられた外乱に対する適応過程において、小脳におけるNOを介したシナプス可塑性が重要な役割を有していることが示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
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