低温による心室筋活動電位延長のイオン機序の解明とモデルによる再構成
Project/Area Number |
04248209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
清末 達人 大分医科大学, 医学部, 助手 (90128348)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | hypothermia / action potential / L-type calcium current / delayed K current / background current / ventricular cell / reconstruction |
Research Abstract |
心臓を低温環境に曝すと、活動電位特続時間が著明に延長する。この機序を明らかにする目的で、モルモット単一心室筋細胞にパッチ電極による細胞全膜電位固定法を適用し、個々のイオン電流系の温度による変化を検討した。また、各イオン電流系の温度依存在を組み込んだ数式モデルを作成し、低温による活動電位延長に対する個々のイオン電流系の貢献度について考察した。 モルモット心室筋細胞の活動電位波形を決める主要な4種のイオン電流系、L型Ca電流、遅延整流K電流、時間非依存性電流、内向き整流K電流、についてそれぞれの温度依存性を調べ、以下のような成積を得た。(1)低温下(24-28℃)では、正常温度(34-36℃)に比較して、L型Ca電流のピーク値は減少したが、電流の下活性化が遅延したため、脱分極終末相での正味の内向き電流は低温下でむしろ増強した。(2)Ca電流抑制下で、500ミリ秒の脱分極パルス終了後に生じる遅延整流K電流の末尾電流の振幅は低温下で著明に減少した。末尾電流は2つのexponentialな成分からなっていたが、このうち、速い成分の温度感受性がより高かった(みかけQ_<10>:5.1)。(3)心室筋細胞の時間非依存在性電流には、外向き整流特性を示すものと、ほぼ直線的な電流-電圧関係を示すものとの少なくとも2つの成分があったが、後者は温度低下に伴って著明に減少した。(4)静止電位に相当する電流ゼロとなる電位(約-80mV)での電流-電圧曲線の傾きから求めた、内向き整流K電流のコンダクタンスは、正常温度での40±7nSから、低温下では27±5nSに減少した。次に、各膜電流系の数式モデルを作成し、これらのイオン電流系の温度依存性を組み込んでシミュレーションを行い、活動電位延長に対する個々のイオン電流系の貢献度を調べたところ、遅延整流K電流、内向き整流K電流、L型Ca電流、時間非依存性電流の順に高いことが示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)