ヒト白血病ウイルスを用いた遺伝子の発現制御とATL発症機構の研究
Project/Area Number |
04253206
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 光昭 東京大学, 医科学研究所, 教授 (80012607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 洋 東京大学, 医科学研究所, 助手 (10202277)
藤沢 順一 (藤澤 順一) 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (40181341)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥51,500,000 (Direct Cost: ¥51,500,000)
Fiscal Year 1993: ¥26,500,000 (Direct Cost: ¥26,500,000)
Fiscal Year 1992: ¥25,000,000 (Direct Cost: ¥25,000,000)
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Keywords | HTLV-1 / ヒトT細胞白血病 / 転写調節 / 遺伝子発現活性化 / ウイルス増殖 / 転写因子 / レトロウイルス / ATL / 転写制御 / ヒト白血病 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
成人T細胞白血病(ATL)はHTLV-1の感染により発症するユニークな白血病で西日本に多発する。本研究はウイルス遺伝子がどのように発現し、どのように細胞の遺伝子発現や細胞の増殖を誘導するかを分子レベルで解析し、ウイルスの感染予防やATLの発症予防に役立てることを目的とする。昨年度までにHTLV-1の調節因子Taxが、細胞の転写因子CREBやCREMと結合し、さらにそれらがHTLV-1のエンハンサーDNAに結合することによってウイルスゲノムの転写活性化を行うことを示した。本年度はTaxによるIL-2RaやGM-CSF遺伝子の活性化について解析し興味あることを発見した。即ち、これら遺伝子の上流に存在するNF-kB結合部位に結合する転写活性化因子であるNF-kB p50、p65あるいはc-Rel蛋白にTaxが結合することを見い出した。これらの蛋白のホモ2量体、ヘテロ2量体と結合したTax蛋白がエンハンサーDNAに結合することが、これら細胞遺伝子の転写活性化に重要と思われる。また血情応答遺伝子のc-fosの調節領域に存するエレメント(SRE)に結合するSRF蛋白にもTaxが結合することを見い出した。これらCREBやCREM、NF-kB蛋白群、血情応答因子SRFは外からの増殖刺激、あるいは分化刺激に応答してリン酸化され、その活性が制御されていることが知られている。したがって、HTLV-1の制御蛋白のTaxは細胞内のリン酸化によるシグナルをバイパスすることにより転写因子を活性化し、刺激のない状態でも恒常的に遺伝子発現を行わせ、異常な細胞増殖を持続的に行わせるものと予想された。現在これらの蛋白の活性を調節する因子等とTaxの相互作用についてもさらに検討を進めている。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)