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¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
本研究では昨年までに以下に挙げることを明らかにしていた。(1)Mycoplasma capricolumゲノムの複製が46kbの領域内から開始される。(2)多くの原核生物で複製開始点近傍に存在しており、その産物であるDnaAタンパク質が複製開始制御の最も重要なトランス因子である、dnaA遺伝子が上記の領域に存在する。本年度はさらに以下に挙げる4点について明らかにした。(1)上記の46kb内の制限酵素地図を作成した。(2)近年、DNAのある決められた領域内でin vivoにおいて複製フォークがどのように動くかを調べるための2種類の2次元電気泳動法が開発された。これらの方法は、これまでプラスミド及び真核生物のゲノムの複製様式の解析に有効に用いられてきている。しかし原核生物のゲノムについてはそのレプリコンが大きいためか、適用されたことは過去になかった。本研究ではこの2つの方法を用いてM.capricolumのゲノムを解析した。その結果、複製フォークがdnaA遺伝子を含む1.98kbの領域内でのみ形成され、その形成後には両方向に向かって進行して行くことが明らかになった。(3)上記の1.98kbを含む9.5kbの領域の塩基配列を明らかにした。従来調べられている原核生物の例では、対応する部分でgyrB,recF,dnaN,dnaA,rpmH,rnpA,50K等が保存されていることが知られている。マイコプラズマゲノム中ではdnaN,dnaA,rpmH,rnpAの4つ遺伝子が並び方も含めて保存されていた。しかしその両側には他の原核生物で対応する部分に見られる遺伝子は存在していなかった。このことはこれらの4つの遺伝子以外の保存が複製開始制御にとって必ずしも必要なものではない可能性を示唆する。(4)原核生物のゲノム複製開始の制御は2kb以下のごく狭い範囲のDNA上で行われていることが知られている。そこにはDnaAタンパク質が結合するDnaA-boxが複数個存在する。そのDnaA-boxの配列(TTATCCACA)は生物種が変わっても余り変化しない。本研究ではすでに明らかになった9.54kbの領域内でDnaA-boxコンセンサス配列を深した。その結果、複製開始点を含む上記の1.98kbと100bpの重なりを持った300bpの領域のみにDnaA-boxと似た配列が見つかった。
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