血管壁細胞ホスホリパーゼA_2の多様性と調節機構の解析
Project/Area Number |
04263215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
工藤 一郎 東京大学, 薬学部, 助教授 (30134612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 圭三 東京大学, 薬学部, 教授 (30072937)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | 血管内皮細胞 / プロスタサイクリン / ホスホリパーゼA_2 / TNF / ヘパラン硫酸 |
Research Abstract |
我々は、ヒト培養血管内皮細胞(HUVEC)のプロスタサイクリン(PGI2)産生に関わるホスホリパーゼA2(PLA2)アイソフォームについて解析し、以下の結果を得た。 (1)HUVECはcPLA2を恒常的に発現していた。トロンビン刺激におけるPGI2産出には、主として本酵素が関与していると考えられた。 (2)TNFは、HUVECにII型PLA2を誘導した。誘導された酵素は、細胞外に放出されず、細胞上にヘパラン硫酸に結合した形で存在していた。II型PLA2に対する特異抗体がTNFによるPGI2産生を部分的に抑制したことから、細胞表面上のII型PLA2が細胞のアラキドン酸代謝に一部関与するものと考えられた。 (3)HUVECのPGI2産生は、細胞外II型PLA2の有無によって変動した。HUVECに別途精製したII型PLA2を添加すると、本酵素は細胞上のヘパラン硫産に速やかに結合し、TNF共存下においてPGI2産生を著しく亢進した。調ベた刺激物質のうち、TNFの共存下においてのみ相乗的なPGI2産生が観察された。血液凝固時には血小板から、炎症時には全身の組織から血流を介して血管内皮細胞にII型PLA2が供給される可能性が考うられる血流中のII型PLA2は血管内皮細胞上のヘパラン硫酸にトラップされ、他の刺激物質(TNF)と協調して、血管内皮細胞のアラキドン酸代謝を調節しているものと予想している。 以上の結果より、HUVECのPGI2産生は細胞内常在性のcPLA2または誘導性のII型PLA2、及び細胞外由来のII型PLA2により調節され得ることがわかった。II型PLA2が作用する場合、細胞表面上のヘパラン硫酸はII型PLA2を細胞膜上に濃縮する″アンカー″としての機能を有しているものと結論した。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)