血流と血管内皮・平滑筋細胞の相互作用に関する分子生物学的・生体工学的研究
Project/Area Number |
04263216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安藤 譲二 東京大学, 医学部(医), 客員助教授 (20159528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 瞭 東京大学医学部(医), 教授 (50014072)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 血管内皮細胞 / 機械受容体 / 摩擦力 / 細胞内カルシウム |
Research Abstract |
本年度は血管内皮細胞が物理的刺激を認識する機構があるか否かについて、従来行って来た流れ刺激と異ったラテックス製のバルーンよる摩擦力刺激で検討した。培養牛胎児大動脈内皮細胞の付着したカバースリップをチェンバーに取り付け、チェンバー内に平衡塩類溶液を満たし、中にバルーンを入れた。バルーンは浮力で浮き上りチェンバー上面に芽触する。バルーンに付けた糸を滑車を通してチェンバーの外に出し、モーターに接続した。モーターを回転させるとバルーンは一定速度で水平糸動し、その際に内皮細胞表面を擦過する。なお細胞にかかる摩擦力はバルーンの浮力を変えることで調節した。内皮細胞にあらかじめCa^<++>蛍光色素のFura-2を取りこませて蛍光測光顕微鏡で細胞内Ca^<++>濃度をモニターした、内皮細胞に摩擦力が作用するとCa^<++>濃度が即座に上昇し、このCa^<++>上昇の程度は作用させた摩擦力の大きさに比例した。バルーンが液中で動くと流れが生じるのでその影響を除くためにチェンバーの液を少量抜き取り細胞が直芽液と接しない条件で摩擦力負荷を行った。その結果空気中でも摩擦力により内皮細胞にCa^<++>上昇反応が出現した。画像解析で個々の細胞の反応を解析すると摩擦力の作用した細胞は全てCa^<++>反応を起こすこと、その反応の大きさ、接続時間は細胞毎で差があることが示された。なお今回の摩擦力の範囲では細胞の剥離は生じず、1度刺激した後反復した刺激やATP、BKNなどの化学刺激を作用させてもCa^<++>反応が通常に起こることから摩擦力によるCa^<++>反応は細胞傷害によるものではないと考えられた。以上の結果から血管内皮細胞には純粋な物理的刺激を感知してその情報を細胞内情報伝達系のセカンドメっセンジャーである細胞内Ca^<++>の濃度変化に変換して細胞内部に伝達する機構の存在すること、即ち内皮細胞が機械受容体としての機能を有していることが示された。これらの結果が本年度の研究実績の主たるものである。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)