血管内皮細胞の腫瘍化及び分化に伴う細胞機能の変動に関する研究
Project/Area Number |
04263224
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今村 貞夫 京都大学, 医学部, 教授 (30026869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 憲一 京都大学, 保健診療所, 助手 (80159045)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Keywords | 血管内皮細胞 / 細胞株 / 無血清培養 / 分化 / 腫瘍化 / インテグリン活性 / カドヘリン活性 / エンドセリン |
Research Abstract |
近年、我々は、中波長紫外線の反復照射をマウス皮膚に施行することにより、皮膚由来の多くの細胞株を樹立する中で、腫瘍原性の血管内皮細胞株下ー2を得た。さらに、Fー2の無血清培地適応化を試み、3次元的構築をとりながら、増殖・分化する適応亜株Fー2Cの分離にも成功した。10^6個のFー2細胞をヌードマウスの皮下に接種すると、宿主に出血性の嚢腫を形成し、2ー3週以内に100%致死的効果を誘導する。その組織はいわゆる“血管腫"様である。一方、FCS濃度の漸減により、完全無血清培地cosmedium001適応亜株Fー2Cは、培地内で自発的に組織学的分化を誘導し、増殖安定期では3次元構築を示し、管腟形成を完成する。同系ヌードマウスにおけるFー2Cの造腫瘍能は著明に抑制されており、4週間の観察では、宿主に対して、Fー2Cは0%であった。次に、両株の細胞接着能をみると、フィブロネクチン、ラミニン、IV型コラーゲンに対するインテグリン活性は、Fー2がFー2Cに比して有意に高く、細胞間におケルカルシウム依存性接着能であるカドヘリン活性は、Fー2CがFー2に比して高いという結果を得た。また、エンドセリンー1の産生能をRIAを用いて検討した結果、コンフルエントにおけるFー2での産生は、10^6個当り24時間で211pg/mlであったが、分化完成期におけるFー2Cでは、22pg/mlと明かな産生抑制が認められた。一方、ヒトの正常血管内皮細胞(HUVEC)を用いて、通常の培養およびマトリゲル上での培養の2条件下でエンドセリンー1の産生量を測定すると、前条件では、985pg/mlであったのに比し、後条件では、5pg/mlと極めて高度な産生抑制が認められた。以上の結果は、血管内皮細胞の形質あるいは機能全般が正常の分化した状態と異なり、腫瘍化、あるいはいわゆる活性化を受けた場合に大きく変動しうることを示唆し、我々が樹立した細胞株Fー2とFー2Cは、有用なものと考えられた。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)