種子繁殖期の生物間相互作用が植物の繁殖成功に及ぼす影響の比較生態学的研究
Project/Area Number |
04264204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鷲谷 いづみ 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (40191738)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | サクラソウ / 訪花昆虫 / 食害昆虫 / 病害微生物 / 種子生産 / 異型花柱性 / 制限要因 / 生物間相互作用 |
Research Abstract |
本研究では、在来のサクラソウ属植物であるサクラソウの異型花柱性の生理的・生態的特性を明らかにするために、昆虫相の豊かな八ヶ岳山麓における5つの分集団からなる集団、およびサクラソウを訪れる昆虫がほとんどいない田島ヶ原の集団において、種子生産とその制限要因を比較した。操作実験として、八ヶ岳山麓では食害の影響を評価するために殺虫剤処理実験を行なった。また、田島ヶ原では花粉媒介昆虫の利用可能性の影響と生理的な不和合性パターンをあわせて評価するために、花型間、花型内で花粉添加実験を行ない、種子生産に及ぼす影響を調べた。 田島ヶ原における放任受粉による種子生産は、長花柱花(P花)、短花柱花(T花)では花当たりの種子生産は数個以下であり、等花柱花(H花)のみに良好な種子生産が認められた。適法受粉は、これらの花型における種子生産はH花と同じ水準にまで増大させた。また、H花個体の花粉がT花の種子生産数を増加させることから、H花個体の花粉はP花タイプであることが示された。八ヶ岳山麓の5つの分集団の間には、種子生産数に大きな違いがあった。種子生産の良好な3つの分集団では、P花、T花ともに田島ヶ島のH花に匹敵する種子生産が認められた。分集団間の種子生産の違い、また分集団内の株(ラメット)による違いは、花やさく果の食害率と病害率によって説明された。すなわち、2つの分集団では、つぼみの段階で観察されたハナムグリハネカクシ属の昆虫による食害(Aで49.5%,Bで17,5%)が種子生産にマイナスの影響を及ぼしたと考えられる。また、別の2つの分集団では、サクラソウを特異的に宿主とするカビ(クロホ病菌)の胞子が、肥大した胎座から採集され、それらの花序は全く種子を生産しなかった。これらの生物的制限要因が存在しないD集団では、最も良好な種子生産が認められた。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)