Project/Area Number |
04270205
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
松浦 悦子 お茶の水女子大学, 理学部, 助手 (00111691)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | ショウジョウバエ / ミトコンドリア伝達 / ミトコンドリアDNA / ヘテロプラズミー |
Research Abstract |
D.melanogasterにおいて、生殖細胞質の移植により作成したヘテロプラズミー系統では、ミトコンドリアDNA(mtDNA)の伝達は、核ゲノムとmtDNAの組み合わせ、および飼育温度に依存して選択的に起こる。このような選択において、核ゲノムがもつ効果について明らかにするため、以下の2つの実験を行った。 (1)D.melanogasterとD.mauritianaのmtDNAが共存する場合、移植の宿主に用いる系統により、選択の温度依存性は著しく異なる。そのようなD.melanogasterの2系統間で核ゲノムの置換を行い、それらにD.mauritianaのmtDNAを共存させた。mtDNAの伝達を、先に得られている結果と比較したところ、伝達は2種類のmtDNAの組み合わせにかかわらず、それぞれの核ゲノムに特微的な温度依存性の選択を示した。 (2)D.melanogasterの核ゲノムでD.mauritiana由来のmtDNAのみをもつ系統が、選択的伝達の結果、得られている。この系統と、D.mauritianaおよびD.simulansを用い、共存するこれら2種のmtDNAに対し、D.melanogster,D.mauritiana,D.simulansの3通りの核ゲノムを組み合わせた。この場合のmtDNAの伝達は、mtDNAの組成が同じであるにもかかわらず、核ゲノムにより異なる温度依存性の選択を示した。 これらの結果から、mtDNAの伝達には、共存するmtDNAの性質に加え、核ゲノムが大きな効果をもつことがはっきりと示された。mtDNAの温度依存性伝達に関与する核遺伝子を同定することを目標とし、まずその染色体領域を特定するため、現在、各染色体の置換系統を作成し、ヘテロプラズミー系統の作成を進めている。 一方、このような選択は、核ゲノムにコードされるDNAポリメラーゼや他のタンパク分子とmtDNAのA+T-rich領域との、mtDNAの複製開始における相互作用によるものと考えている。その機構を明らかにするために、現在PCR法を用いて、A+T-rich領域の塩基配列の決定を進めている。
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