アミノアシルtRNA合成酵素の構造解析を通して見る翻訳系の進化
Project/Area Number |
04272220
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
芝 清隆 (財)癌研究会, 癌研究所・細胞生物部, 研究員 (40196415)
|
Project Period (FY) |
1992
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
|
Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
|
Keywords | アミノアイルtRNA合成酵素 / tRNA / クローニング / 遺伝子構造 / 進化 / 分子生物学 |
Research Abstract |
今年度の研究では、既報の原核生物、下等真核生物由来のイソロイシルtRNA合成酵素(以下、lle-RSと略す)の一次構造比較をもとに、Cross-SpeciesPCR法を用いヒトのlle-RS遺伝子を分離し、次にその構造解析からlee-RSの進化に関して考察をおこなった。まず、複数の生物から単離されている、lee-RSの一次構造上に保存された領域を同定し、ここに相当するdegeneratePCRプライマーをデザインした。このプライマーを用い、ヒト培養細胞のmRNAから出発し、RT-PCR法により相当する遺伝子断片を増幅した。この方法により2種の異なる遺伝子断片が増幅されており、ヒト細胞が2つ以上のlle-RSを持つことを示す。次に、これらPCR産物をプローブとして、ヒトT細胞cDNAライブラリーをスクリーニングし、2種のlle-RSを相当するcDNAの分離し、その塩基配列を決定した。決定した2つの遺伝子(TypeAとTypeBと呼ぶことにする)の特徴をまとめると、1.TypeAは大腸菌の遺伝子との相同性が高く、TypeBは酵母細胞質型酵素遺伝子との相同性が高い。2.TypeBは、C末に既報のlle-RS遺伝子には無いドメインを持っている。このTypeBが持つC末端のドメインは、動物細胞に特有の、細胞質でのARS同志の高分子量複合体形成に役割をもっている可能性が考えられる。3.酵素のC末端領域は、グラム陰性菌とTypeAを含むグループ、および、酵母、ヒトラヒメナ、メタン菌とTypeBを含むグループとの間では、明かに異なる構造保存性を示す。前者にはZnフィンガー様構造が存在するのが特徴である。これらの事実は、TypeAは、ヒトのミトコンドリア型イソロイシン酵素を、TypeBは、細胞質型酵素を表わしている可能性を示唆している。2つの酵素がそれぞれ保存している特徴と機能との関連の追究が今後の興味の対象となる。また、クローン化されたミトコンドリア型遺伝子を利用し、ミトコンドリアがもつtRNA分子に対する認識機構の問題にも、研究を広げて行きたい。
|
Report
(1 results)
Research Products
(5 results)