生体部分肝移植の確立-Redox理論の発展とその応用
Project/Area Number |
04404051
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Digestive surgery
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小澤 和恵 京都大学, 医学部, 教授 (00026858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍛 利幸 京都大学, 医学部, 大学院生
田中 明 京都大学, 医学部, 助手 (00240820)
森 敬一郎 京都大学, 医学部, 講師 (80159186)
田中 紘一 京都大学, 医学部, 講師 (20115877)
山岡 義生 京都大学, 医学部, 助教授 (90089102)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥18,500,000 (Direct Cost: ¥18,500,000)
Fiscal Year 1992: ¥18,500,000 (Direct Cost: ¥18,500,000)
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Keywords | 生体肝移植 / レドックス |
Research Abstract |
本研究において、生体部分肝移植症例において、近赤外光分析を用い肝sinusoidにおけるヘモグロビン酸素飽和度(HSO2)、ヘモグロビン量(THB)を求め、さらに術中凍結採取した肝組織の酸化型フラボプロテイン/還元型ピリジンヌクレオチド比(FP/PN比)を組織蛍光測定法により測定し、さらに血中ケトン体比を経時的に測定し、肝細胞内外の酸化、酸素化の関係について検討した。ドナー肝の採取前、門脈血流再開後、肝動脈血流再開後、閉腹前に近赤外光分析を移植肝臓の10ケ所について測定した。HSO2の10点の平均(mean)とその標準偏差(SD)を求め、肝sinusoidにおける酸素供給とそのheterogeneityの指標とした。バックテーブルに浸漬中、閉腹前について微量肝組織を凍結採取し、組織蛍光測定法によりFP/PN比を求めた。HSO2の平均は、ドナー肝採取前、PV,HA血流再開後、閉腹前、82.8、55.6、72.9、77.9%と、PV血流再開時には低いものの閉腹前には採取前と有意の差は認めないまでに回復した。一方、酸素化のheterogeneityの指標であるHSO2のSDは7.4、21.0、13.2、9.8%と、PV血流再開後には微小循環の障害のためheterogeneityが存在するが、閉腹時には有意差を認めないまでに回復した。一方FP/PN比は浸漬保存中は、対照の1.18+0.19から0.25+0.10と低下し、閉腹前には0.62+0.10と上昇するものの、対照と比べ依然低値を示し、細胞内は還元状態にあることが判明した。血中ケトン体比は閉腹後24時間後に1.62にドナー採取前と有意差のない値に回復した。肝sinusoidレベルでの酸素需給動態を反映するHSO2はそのmean,heterogeneityともに、閉腹時にはほぼ回復したのに対し、主として肝ミトコンドリアのoxid-reduction stateを反映するFP/PN比、血中ケトン体比の回復が遅れたことは、肝移植において肝細胞外への酸素供給は早期に回復するが、ミトコンドリアを中心とする代謝状態の回復には時間を要すると考えられた。以上の事実は単なる肝臓への酸素供給でなく肝細胞内の酸化還元レベルを知る血中ケトン体比が、移植肝の機能を見る指標としては優れていることが証明された。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)