Research Project
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
今年度はこれまでに収録したアイヌ語千歳したアイヌ語千歳方言の口承文芸資料から単語を切り出す作業を行い、前年度までに会話資料・単語の聞き取り資料などから整理した語彙と合わせて約5500語の異なり語数を確認した。その語例中、意味の正確な確認をさらに必要とする700語をリストアップし、千歳市蘭越在住の白沢ナベ氏に聞き取り調査を行う予定であったが、同氏の突然の死去により計画変更を余儀なくされた。千歳地方には白沢氏ほどではないが、アイヌ語を流暢に話せる話者がまだ存命である。しかし、折あしくどの方も健康状態がすぐれず、聞き取り調査の遂行は難航している。そこで一語一語の意味を用例から推測して行くという方法に切り換え、あらためて全資料のkwic索引を作成、現在そのkwic索引によって意味の確定作業を遂行中である。その一方で、音声データをパソコン上に入力するという作業を前年度以来進めているが、当初計画していたハイパーカードによるデータベースの作成は、当ソフトの音声データの扱いにおけるメモリ上の制約から、データ数が多くなると非常に困難をきわめることが判明し、ワルツカードというデータベースソフトの利用に切り換えた。しかし、同ソフトは音声データの編集機能を欠いているため、ハイパーカードを併用して入力作業を行わなければならず、一語の入力作業に予想以上に時間がかかっており、現在約四百語のデータ入力をするにとどまっている。