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¥6,600,000 (Direct Cost: ¥6,600,000)
Fiscal Year 1992: ¥6,600,000 (Direct Cost: ¥6,600,000)
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Research Abstract |
誘電体結晶中の正孔に緩く束縛された電子で構成されるポーラロンは,赤外部に吸収ピークを持ち,高エネルギー側に尾を引く特徴的な吸収帯を伴うことが理論的に予測されているが,現在までに観測された吸収帯には,その様な典型的な形をしたものは殆ど見られなかった.一方,我々のグループでは,アルカリハライド結晶中のon-center型自己束縛励起子(Self-Trapped Exciton:STE)によると考えられる吸収帯或はその裾と思われる吸収が,上記ポーラロンの特徴的な吸収帯に酷似していることを観測した.この吸収帯の形を精密に測定するため,本研究では,光吸収スペクトルの測定領域を光子エネルギー0.15eVにまで拡張し,構成ハロゲンイオンより重いハロゲンである沃素(I)を含むKBr:I,RbCl:I,RbBr:Iでは,核当する吸収帯がそれぞれ0.29,0.35,0.30eVに現れる事を確認した.また,NaBr結晶中の該当する吸収帯は0.19eVと0.20eVに現れる事を確認した.前者の減衰時定数は10μs以上,後者のそれは0.45μsで,両者とも同一のSTE(Br_2^<--*>)による過渡吸収帯である.共に高エネルギー側に尾を引く典型的な形をしている.以上のように,本研究の目的である,吸収帯の形状及びその吸収強度の減衰時定数を精密に測定する事により,正孔に緩く束縛されていると思われる電子によるSTEの存在を確認することが出来た.
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