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¥6,400,000 (Direct Cost: ¥6,400,000)
Fiscal Year 1992: ¥6,400,000 (Direct Cost: ¥6,400,000)
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Research Abstract |
我々は,液晶対流系を用いて一様または周期構造を持つ散逸大自由度系を実現した.この系において制御パラメータを上昇させていくと空間的周期構造,時間的振動状態(リミットサイクル),時空カオス,乱流状態へと次々に転移を起こすことが知られていたが我々は,1)局在した位相波の自発的生成と崩壊,2)欠陥乱流,3)振動位相のジャンプからできるPhase Shift Lineとそのダイナミクス,4)パルス的乱流状態,5)乱流中の巨視的構造,などの動的な新状態を見いだした.これらのうち1)の局在した位相波の自発的生成と崩壊については,実験結果に基づいて理論モデルが開発され,日仏の理論家グループとの協力によりそのメカニズムが解明された.理論の結合Ginzburg‐Landau方程式およびその縮約によって得られる結合位相方程式が実験系で成り立っていることを検証した.これによりペースメーカーの生成機構が空間周期構造と時間振動の二つの位相の正のフィードバックによる新しい位相不安定性によって生じていることが明らかになった.また,振動の局在化の機構も解明された. 2)のPhase Shift Lineは,振動媒質を外場によってパラメトリック励振したときに現われる(位相がpiだけ異なる)二つの等価な引込状態を隔てる動的なDomain Wallであり,外場の振動数や振幅を変化させることにより,通常のDomain Wallでは見られない複雑で多彩な運動を実験で観測した.これは,複素Ginzburg‐Landau方程式にパラメトリック励振を加えた方程式でよく現象が再現されることが京都大学の理論グループにより明らかにされ,ダイナミクス解明への足掛かりを開いた.
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