Research Abstract |
超微粒子機能性材料を作る上で重要となる粒径制御および粒子形状制御に関する基礎研究を行い,Sil元系の場合の粒径制御法に関する知見を得た。またSi-Ge2元系の超微粒子気相合成も行い,1元系の場合との違いを検討した。 四重管構造のバーナーによる酸水素層流拡散火炎中でテトラエトキシシラン(TEOS)からSiO_2(シリカ)超微粒子を気相合成し,火炎中の粒子径,粒子形状の火炎軸方向変化を観察した。火炎中粒子のサンプリングは,透過型電子顕微鏡(TEM)用のマイクログリッド板を素速く火炎中を通過させて粒子を付着させた。マイクログリッド板の高分子被覆膜が全く損傷を受けないことから,付着した粒子は火炎中の形状を保っているものと考えられる。その粒子をTEM観察し,以下のような知見が得られた。 1.火炎下部の温度上昇域でTEOSからシリカ分子を生じる化学反応は瞬時に完結し,シリカ分子の凝縮による一次粒子が生成する。 2.核発生理論から,生成される核の大きさは2nm以下と見積もられるにもかかわらず,観察される一次粒子は10nm程度であった。 3.火炎中のガス流速から推算して,せいぜい2msの短時間の間に,TEOSからシリカ分子が生じ,核発生し,さらに10nm程度の大きさに成長する全過程が完了していると考えられる。 4.さらに火炎の上方に移るにつれて一次粒子の凝集体が発達し,最大1000個経度の一次粒子の凝集体が観察された。 5.火炎の最高温部を通ることにより,これらの凝集体は直径100nm程度の大きな球形粒子へと溶融変形した。 6.これらの諸過程は並発的に進行するため,平均10nm程度の小粒子と100nm程度の大粒子からなるbimodalな粒径分布を示した。
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