Research Abstract |
1.目的のクロデキストリン(以下CDと略)二量体の合成原料並びに標品として,OHを活性化した非対称二置換CD及び多置換CDを調製し,位置異性体分離,構造決定に成功した.さらに,一級水酸基側での官能化,二量化を以下のように行った.2.ナフタレンスルホニルクロリドとβ-CDから,6A6B,6A6C,及び6A6Dのジスルホナートを合成した.6A6D-ジスルホナートとNaN_3から,一方のスルホナート(6Aまたは6D)のみがN_3で置換した非対称二置換CDを合成した.さらに,残存している1個のスルホナートをベンジルチオ基で置換すると同時に,N_3をアミノ基へ還元した.これをNH_3-Na還元,ついで空気酸化し,アミノ基を6Dまたは6Eに有し,かつ,ジスルフイド結合で連結したCD二量体を合成した.6A6B-ジスルホナートについては,N_3を導入した後,生成する2種の位置異性体を単離し,別途に合成した標品化合物(1で合成した)と同定することによって,それぞれの位置異性構造を決定した後,上記と同じ反応を行って,アミノ基を6Bあるいは6Gに持ち,SHを6AにもつCDを得,さらにSH基をピリジルジスルフィド基に変換した.一方,アジド基とスルホナート基を持つCDに紫外線照射して,アジドメチル基をアルデヒドに変換し,さらに酸化して,カルボン酸に導いた.今後,これからSH基とカルボン酸を持つCDを調製し,この二置換CDと,アミノ基とピリジルジスルフィド基を持つCD(前述)から,アミノ基とカルボキシル基をもつCD二量体を合成する予定である.3.2個のアミノ基を持つCD二量体は,メチルオレンジを2.9万(pH7),18万(10),23万(12)の会合定数(M^<-1>)で取り込けことを見いだした.この二量体は,単量体に比べると最高400倍にもなる大きな取込み力を持ち,かつそれをpHで制御できることが特徴である.
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