ラットの視覚機能の補償作用に関する行動生理学的研究
Project/Area Number |
04610062
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Psychology
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
池田 行伸 佐賀大学, 教養部, 教授 (50159638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 誠 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (80124808)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 視覚系の可塑性 / 片眼適出 / 白黒弁別学習 / 皮質視覚野破壊 / アルビノラット / 脳梁切断 / 非交叉神経経路 / 補償効果 |
Research Abstract |
出生直後にラットの片眼を摘出すると、非交叉性の視覚神経系(残存眼と同側の視覚神経経路)に補償的変化が生じることが、われわれの電気生理学的研究および行動学的研究から明らかになっている。行動学的研究から得られた最初の知見は次のとおりである。出生直後に片眼を摘出されたアルビノラット(OEB)に白黒弁別回避学習課題を与え、基準到達後、残存眼と反対側の皮質視覚野を破壊し、再び同じ学習課題を与えると、生後3ケ月令で片眼を摘出されたラット(OET)に比べて有意に速く学習基準に到達した。しかし、このような効果は再学習においてのみ観察され、残存眼と反対側皮質視覚野破壊後に白黒弁別学習を獲得させようとしても、OEBもOETも300試行内で基準に到達することができなかった。このように、出生直後の片眼摘出による補償効果に限界が示された。一方、幼若時に脳梁を切断すると、脳梁の神経終末が他の機能している神経とシナプスを形成するという報告がある。それゆえ、われわれは出生時に片眼を摘出するだけでなく、幼若時に脳梁を切断する処置を加えることによって、さらに大きな補償効果が得られるのではないかと考えた。直接には、白黒弁別学習の獲得ができるようになるかどうかを調べた。脳梁切断の時期は3週令とし、その10週後の13週令(約3ヶ月令)に残存眼と反対側の皮質視覚野を破壊し、白黒弁別学習の獲得訓練を行った。その結果、OEBは学習獲得に成功したが、OETは失敗した。統制群として、脳梁切断処置を省く以外は上記と同じ手続きを受けたOEBとOETを用いたが、これらは学習できなかった。また、13週令で脳梁を切断し、10週間の回復期を与える群も設けたが、このOEBは、先の2群のOEBの中間の成績を示した。OETは学習できなかった。これらの結果は、幼若時脳梁切断により残存眼と同側の視覚系の機能が高まることを示している。
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Report
(1 results)
Research Products
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