Project/Area Number |
04610238
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
History of Europe and America
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
斎藤 絅子 明治大学, 文学部, 教授 (90022467)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1992: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | ぶどう酒 / ヴィナージュ / フォラージュ / ぶどう酒商人 / 酒屋 / 慣習法文書 / 所領明細帳 / 判告書 |
Research Abstract |
この間の筆者の関心は、同時代人にとって「都市」とはいかなるものか、人々にとって都市に居住することが農村に居住することとの比較で、どのように意識されたのか探ることであったが、本研究では、従来「都市的飲料」とされてきたふどう酒にしぼって、その消費、消費をめぐる共同体と封建支配者との関係を究明した。その場合の対象領域として、現ベルギーのエノー地方を選択したが、気候条件がぶどう栽培に適さないこの地方においては、外地産ぶどう酒に依存せざるを得ず、その結果、領域領主、在地領主、そして多様な形態の商人がそこに参加していくことになる。従来この地域におけるぶどう酒の主要な消費者は都市の富裕ブルジョアジーと考えられており、農民的消費については未だその研究がほとんどなされていなかった。しかし、実際には中世盛期・後期を通して、人口数100人に満たないような農村的居住地に至るまで、史料にはぶどう酒に関す一般市民・農民のぶどう酒との関わりを示す史料としては、領主と共同体との関係を規定した慣習法文書、エノー伯や修道院の所領明細帳、各居住地の条例、判告の分析を行ったが、これらの史料には異なる形態の流通税が見られ、ここから、そこに介入する政治権力を探ることが出来る。この点について、広領域に渡る上級裁判領主であるエノー伯が通行の安全の保証と引き替えに微収するwinage、各居住地におけるぶどう酒の価格決定権をもつ領主によって微収されるforageが頻出するが、これらの税を指標として、都市と農村におけるぶどう酒の位置づけの相違が指摘される。さらに、遠隔地ぶどう酒商業に従事する商人(vinier)が市政に重要性をもつ都市と、酒屋のみが出現する小居住地との比較が、この地方における都市的性格の度合を示す鍵となると思われる。
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Report
(1 results)
Research Products
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